Anglo-bites

 **イギリスつまみ食い**


● 天気と国民性
● 再び「街並みの美」について
● 一言イギリス英語講座 - "gazumping"
● 中庸のすすめ

     ● 天気と国民性

今年は、どうやら夏と呼べるものがあったようです。天気と国民の性格とは深い 関わりを持つと思います。たとえば、日本には四季があって、天候のパターンが決 まっているでしょう。(最近は、空梅雨とか冷夏というのもあるみたいですが。) 梅雨には1ヶ月くらい毎日雨の日が続いて、それが明けると、蒸し暑い炎天下が連 日続く。冬だったら、関東では、何日も乾いた晴天が続く、といった具合です。こ ういう国では、計画を立てるということが可能になります。イギリスには四季はあ るということができます(夏はない年がありますが)が、天候のパターンといえる ものはありません。つまり、一定の天気が長期間続くということがないわけです。 5月くらいから8月の間に、太陽が出ると人々は、それまでやっていたことをすべ て放り出して、外に出ます。そして、太陽を満喫するわけです。というのは、明日 からまたどんよりとした肌寒い日に戻ってしまう可能性も大ですから。こういう天 候のもと、国民の性格は、計画的というよりは臨機応変ということになります。元 来、綿密な計画を立て、それに従って着実に実行し、達成感を楽しむという性格の わたしには、このイギリス人の性格は、ギャップの大きいものでした。でも、結局 は計画を立てることのできない地。ここはやっぱり、現地人にしたがって、太陽が 出たら、すべてを放り出して外に出ることにしています。それが、もし、明日も晴 れ、明後日も晴れ、というスペインの地中海沿岸のようなところに行ったら、性格 はどう変わるのでしょうね。やっぱり、アスタ・マニヤーナ?

     ● 再び「街並みの美」について

今、イギリスは80年代に続く住宅ブームの真っ只中です。この背後にあるのが、 20数年ぶりの低金利。(といっても、どこかの国とは水準が違って、基準金利は まだ5%です。)及び、雇用についての安心感が強まったことだそうです。(本当 かなあ。)特に、サービス業の強いロンドンでの住宅価格の上昇は他の地域をはる かに上回ります。 前回の「イギリスの住宅事情」特集には、普段より大きな反響をいただきました。 その時読者の方からご指摘いただいた点を含めて、その時に取り上げなかった「住」 の話題を今回は少し拾ってみようと思います。 まず、イギリスの不動産広告と日本の不動産広告の違い。JTさんの指摘ですが、 イギリスの不動産広告には間取り図がない。その通りです。タウン誌などに入って くる広告にも、不動産屋の店頭の広告にも間取り図が全然ありません。あるのは外 観の写真と略語だらけの簡単な説明だけ。これをもとに、いくつか候補をあげると、 次にもう少し詳しい書類を不動産屋が引っ張り出してきます。「階段を上がると、 右手にはバスルーム・・・、」なんて説明がありますが、やっぱり間取り図はない。 その理由としては、イギリスの家の間取りなんてどこも似たようなものなので、外 側だけ見ればわかるから、ということをJTさんは聞いたそうです。JTさんも懐 疑的でしたが、わたしもそんなことはないと思います。一見外側は全く同じでも、 間取りが違う家が隣り合わせに並んでいることもしばしばです。もしかしたら、間 取り図というものがイギリスには存在しないのかも。余談ですが、スペインの家を 買う時に、美しい間取り図付きのパンフレットに久々にお目にかかりました。楽し かったですね。その後も何人かの人とメールで話したのですが、間取り図を見るの がこの上もない楽しみという人は結構多いみたいです。

次に、再びイギリスの「街並みの美」について。第一回目の「住」特集を書いた 後に、たいへん興味深い記事を新聞で読みました。やっぱりイギリスにも街並みの 問題はあるそうです。もちろん、紫の洋館の隣に和風のお屋敷というほどではない ようですが。この街並みの不調和を生み出しているのは、1930年代に郊外に建 てられた中産階級の人たちの家だそうです。それ以前は、住宅は主に大都市内に建 てられ、住宅供給は地方自治体の重要な責任の一つでした。そこで地方自治体は、 建築家を雇ってきちんとした都市計画を策定し、それに基づいて公営住宅の建設を したわけです。ところが、このような大都市内の公営住宅に満足のできない中産階 級が個性のある住宅を求めて、郊外に流れ出しました。この時代から、デベロッ パーというものが出てきたそうですが、このデベロッパーたちは、採算上、建築家 を雇うようなことはしませんでした。というわけで、都市計画のない街が郊外に出 来上がってしまったわけです。わがビーン村の隣の隣にも、この典型ではないかと 思われる高級住宅街があります。どれもみな一戸建てのすばらしい家なのですが、 スタイルがばらばらなのです。こういった家は、外側はチューダー朝だったり、ビ クトリア朝だったり、古い形式を真似ていますが、中身は便利さと快適さを追求し た近代的な作りになっているそうです。(やっぱり、外見だけでは間取りは判断で きませんよね。)というわけで、「街並みの美」は都市計画を含むトップダウンの 住宅政策の賜物といえるようです。

     ● 一言イギリス英語講座 - "gazumping"

「住」特集にちなんで、ここでも不動産関係の言葉をご紹介します。売り手市場 の続く現在の住宅ブームで、再びよく聞かれるようになったのが、この言葉。すで に別の人に売る合意の成立している家に対し、最初の買い手よりも高い値段を提示 することによって、それを手に入れることを言います。最初の買い手にしてみれば、 ただ単に夢が破れるというだけでなく、最初の合意以降、測量・不動産鑑定代など をすでに負担した後ですから、経済的な打撃も小さくありません。このガザンピン グは、現在のイングランド・ウェールズの法律では違法にはなりません。現在、こ れを違法とするよう法を改正するか、あるいは測量・鑑定代を売り手に負担させる などの対策が望まれています。

この意味では、この言葉は1970年代から使われるようになりました。それ以 前は、(1920年代より)「他人をだまして手に入れる」と言う意味で使われて いたようです。この意味での語源は、イディッシュ語の "gezumph" であると言わ れています。 もう一つ、不動産関係の言葉で、今は昔となったものを。"negative equity" です。80年代末の住宅バブルが90年代前半にはじけた後、残ったのがこれ。住 宅ローンの額より家の価値のほうが低い状態を言います。売るに売れないつらい状 態です。80年代の住宅ブームは、まさしく日本のバブルと同じように、誰もが右 肩上がりの相場を信じて疑いませんでした。家は買えば、必ずそれ以上の値段で将 来売れるものと思い込んでいたのです。ところが、その神話はもろくも崩れました。 さて、今回の住宅ブームの行く末は・・・?

     ● 中庸のすすめ

一番最初に、太陽を求めるイギリス人について書きましたが、ここ数年、皮膚癌 の危険性が叫ばれています。ところが、最近、太陽の効用を訴える報告書が発表さ れ、関心を集めました。日光浴には、心臓病や多発性硬化症の予防に役立つ、骨を 強くする、ストレスから解放される、などの効果があるそうです。対立する二つの 意見に戸惑いがちな人々ですが、何にでも程度があるのは当たり前のこと。ほどよ く日光を楽しみ、過度に日光に体をさらすのを避けるのは当然でしょう。 それにしても、ちょっと日に当たっただけで真っ赤になり、お金を出して南の島 に行ってこんがり焼いて来ても、あっという間にまた真っ白くなってしまうイギリ ス人は気の毒な限りです。一方、何の苦もなくこんがり焼けてしまうわたしたち日 本人のほうは、日を避けるのですから、皮肉なものです。先日も、かんかん照りの ストラトフォード・アポン・エイボンで、日傘をさしている日本人女性を見て、 「あの人、傘の使い方を間違えている。」と夫が言っておりました。そういわれて みれば、結婚式・葬式・アスコットの競馬場でもない限り、イギリス人の女性が帽 子をかぶっているのはあまり見たことがありません。ところ変われば、美人の基準 も変わるものですね。

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