●音についての話あれこれ
先日、山口県に住んでいる友人が、町議会選挙が近いため、選挙カーがうるさ
くてかなわん、とぼやいておりました。
そこからすると、イギリスというのは静かな国です。パトカーや救急車、消防
車も、必要以外の時にはサイレンを鳴らしません。道路が混んでいて、どうして
も他の車にどいてもらわないと動けない時、「エクスキューズ・ミー」といった
感じでサイレンを鳴らしたり、交差点や横断歩道で周りの車や歩行者に注意を促
す時にサイレンを鳴らすくらいです。日本の救急車なんて、夜中の2時、車の通
りはほとんどない時でも、サイレンを鳴らします。そして、「ここで病人が出た
のだ。」といわんばかりに、救急車を呼んだ家の前でぴたっとサイレンを止めま
す。これなんて、サイレンの本当の意味はなんだろうな、と疑問を抱かせます。
もっとも、これは日本だけではないかもしれません。昔、アメリカに住んでいる
友人が、消防署の前に住んでいるので、よく真夜中にサイレンでおこされる、と
言っていました。
久々に日本に帰ると、その騒音の多いことに驚きます。町中に音があふれかえっ
ています。日本人の騒音に対する許容度ってすごく高いのでしょうね。それとも
やっぱり慣れでしょうか。聞きたくない音を聞かされるのも暴力の一つではない
かと思うのですが。
しばらく前にテレビ番組(ドキュソープ)にもなりましたが、ロンドンのウェ
ストミンスター区の環境衛生課には、騒音対策特別チームがあります。真夜中ま
で大きな音で音楽を流しているという通報があると、その家に出かけて行って警
告をします。24時間体制で騒音対策にあたっているわけです。防犯アラームが
鳴りっぱなしの車を牽引車で撤去するシーンなどには、思わず拍手をおくっちゃ
いたくなりました。
秋の音といえば、虫の音(ね)ですよね。日本では、虫の声、とか虫の音(ね)
というように、虫の鳴き声は音楽的なものととられていますが、イギリスでは単
なる "noise" (雑音)です。それも、聞き取れればの話です。多くの人は、虫
の音には無関心なので、虫の音を虫の音と認識することすらないようです。やっ
ぱり、これも感性と文化の違いでしょう。イギリスでも、鳥のさえずりは
"song" と音楽的なものとされているのに、昆虫には冷たいようです。
夏の音は、日本ではセミでしょう。イギリスにはセミはいません。南のケント
にいないのですから、イギリスにはいないと言い切ってもいいでしょう。だから、
イギリス人のパッケージツアーでイタリアなどに行くと、「あのうるさい音は
何?」ということで大騒ぎになります。セミだ、と言うと、そもそもセミとはど
んな昆虫か、ということから始めないといけないことになります。ちなみに、セ
ミは英語で、cicada と言いますが、発音はシケイダとかシカーダとかまちまち
です。現物が存在しないのですから、それも無理ないかもしれません。
日本人の友人がイギリス人の御主人とニューヨークに行きました。セミの声が
するので、「あら、セミだわ。」と言いましたが、御主人は、あれは自動車のア
ラームの音だと言い張って聞きません。"Seeing is believing" とは言いますが、
やっぱり見たこともないものを信じるのは無理?
|