Anglo-bites

 **イギリスつまみ食い**

第4回

第4回の目次
● イギリス人と食べること
● 食事を表す言葉
● 一言イギリス英語講座 − "eco-warrior"
● Trainspotting

● イギリス人と食べること

イギリス料理はまずくて、イギリス人の味覚も鈍い、という話をよく聞きます。 この理由についての説明で、わたしがもっとも納得するものは、それは清教徒のストイックな道徳感から来ているのではないか、というものです。

最近でこそ、グルメブームで、テレビで有名なシェフの経営するレストランで食事をしたり、クチコミでおいしいといわれるレストランを試したり、というようなことが中産階級の間で、流行ってきましたが、多くのイギリス人にとっては、まだまだ、食事をするということは、空腹を満たすことでしかないようです。三度の食事というものについてのこだわりは日本人ほど強くありません。(伊丹十三の映画「タンポポ」に出てくる、死の床にあって、最後の力をふりしぼって、チャーハンを作る母親は、イギリスでは見られないでしょう。)また、一日に一度しっかりした食事をすればそれでいい、という考えは、下に述べるように、食事を表す言葉にも表われています。

このような食べることに対する執着の無さ、あるいは食べることを楽しむのは享楽であるという罪の意識が、イギリス人をして、イギリスを美食の国とすることを妨げているのではないかという気がします。

● 食事を表す言葉

ここでは、食事を表すいろいろな言葉についてご紹介したいと思います。下記は、食事を表す言葉とその代表的なメニューです。

Breakfast(朝食)

朝にとる食事。最近の代表的なものは、コーンフレークなどのシリアル (cereals) やトーストです。トーストにはマーマレードを塗るのが伝統的。また、マーマレードは、朝食時にのみ使われるのが習慣です。

週末には、多くの家庭で、 full English breakfast と呼ばれる、調理を伴う朝食がとられます。他に名物料理はなくとも、これだけはイギリス人が世界に誇ることができるというくらい素晴らしい料理です。地方や各家庭によって内容にバリエーションはありますが、卵、ベーコン、ソーセージ、フライパンで焼いたトマトとマッシュルームが主なものです。イングランド北部では、これに black pudding と呼ばれる、血で作ったソーセージの輪切りが加わります。(なんとなく、恐ろしい響きですが。)

この他には、オートミールのおかゆ (porridge) や kipper と呼ばれるにしんの薫製、薫製のタラ (haddock) なども伝統的な朝食です。porridge は、スコットランドでは、塩をかけて、イングランドでは、Golden Syrup (水飴がもっと液状になったようなもの。)をかけて甘くしていただきます。

Elevenses (おやつ)

午前11時頃に食べる軽食を指します。お茶にビスケットといったところ。

Lunch または Dinner(昼食)

昼にとる食事。そのボリュームと内容によって、Lunch と呼ぶか、Dinner と呼ぶか分かれます。 Dinner という言葉は、一日のうちのメインになる食事のことを指すので、お昼にボリュームたっぷりの食事をとれば、これが Lunch ではなく、Dinner になるわけです。(こういうところに、食事は一日に一度しっかりしたものをとればそれでいい、というイギリス人のストイックな考えが表われているわけです。)

しかし、business lunchというように、高級レストランでのフル・コースの食事でも、特に時間(昼)を強調したい時には、dinner の代わりに lunch という言葉を使います。

Sunday dinner は、伝統的に日曜日の昼(午後1時から3時くらい)にいただくボリュームたっぷりの食事です。主に、オーブンで焼いた (roasted) 肉とじゃがいも、それにゆでた緑黄野菜をいただきます。その後、デザーと (sweet) と(または)チーズとビスケット(クラッカーのような甘くないビスケット)が続きます。

Afternoon tea

午後のお茶の時間です。紅茶の他に、スコーン(バター、クリームにいちごジャム)、きゅうりのサンドイッチとケーキの軽食が添えられます。

High tea (tea)または Dinner (夕食)

これは前述の Lunch と Dinner との関係によって決まります。昼に lunch を食べると、夜は dinner になり、昼に dinner をとると、夕食は high tea (tea) になるわけです。

伝統的に、中産階級では、lunch と dinner の組み合わせ、労働者階級では dinner と tea の組み合わせが多いということです。

また、high tea は調理した食事をさすことが多く、tea は冷たい食べ物を表すのに使われますが、最近では、tea も high tea の省略形として使われるようになってきています。

Supper (夜食)

夜遅くいただく食事。特に、観劇の帰りに、お芝居を見た人たちがとる食事を指します。また、寄宿舎学校の寮で、夕食後、就寝までの間に出される牛乳とビスケットなども supper と呼ばれます。

以上、食事を表す言葉はイギリスにはいろいろあります。もちろん、ここにある食事全部をとる人はほとんどいません。(cream tea で有名なイングランド南西部デボンに旅行した時、どのようにして昼食と夕食の間に、afternoon tea を入れようかと悩んだものです。)このようないろいろな食事を表す言葉が生まれた背景には、階級や職業、地方などによって異なる食習慣があったためと考えられます。

● 一言イギリス英語講座 − "eco-warrior"

権威ある "Roget's Thesaurus" (類義語辞典)の今年の改訂版で新たに付け加えられた言葉として、話題になりました。環境戦士といったところでしょうか。普通の英語で言うと、"environmental activist"(環境活動家)ということになります。

この人たちは、開発計画のある森や野原にでかけて行って、トンネルを掘ったり、木の上に小屋を作って立てこもり、ブルドーザが入って来ても、最後まで立ち退きを拒み、抵抗するといった活動をします。一番有名な eco-warrior は、Swampy と呼ばれるねずみ顔の青年で、"Time Out"誌の表紙を飾ったり、人気テレビ番組にも出演しました。(この人たちは、独特のニックネームで呼ばれます。)最近では、史上最年少の eco-warrior といわれる11歳のマシュー・ウィリアムズ(通称 General Survivor)君が義務教育課程の学校に行っていないというので、議論をよびました。

● Trainspotting

前回の一言イギリス英語講座では、"anorak" について書きましたが、この語のこの意味の語源になった "train spotters" と映画 "Trainspotting"のタイトルとの関係についてお便りをいただきました。

Tさんは最近、「"trainspotting" とは「注射針の跡が静脈に沿って点々と付いているさま」である。」という説を耳にしたそうです。これが、映画の内容との関連の上で、いちばん納得のできる解釈だったということです。この点について、周りのイギリス人について聞いてみましたが、今のところ、特にドラッグと関連のある "trainspotting" の意味について聞いたことのある人には出会っていません。(でも、この人たちはドラッグ文化とはあまり関係のなさそうな人たちばかりなのですが。)どなたか "Trainspotting" のタイトルの由来をご存知の方がいらっしゃったら、是非メールを下さい。

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