Anglo-bites

 **イギリスつまみ食い**

第41回の目次
● Big Brother
● 親しき仲にも礼儀あり
● 一言イギリス英語講座 - 今回はお休みです。
● Big Brother

イギリスのちょっと気になるテレビ番組というのをホームページでご紹介しているのですが、この「TVウォッチ」のコーナーで最近一番の反響をいただいたのが、"Naked Jungle" という番組についてです。このゲーム番組、司会者を含めチャレンジャーも全員一糸まとわぬ姿ということでちょっとした話題になりました。(チャンネル5という受信地域の限られているテレビ局で11時近くからの放映だったので、どのくらいの人が実際に見たのかは疑問ですが。)第2弾も予定されていたようなのですが、一回目の評判が散々だったために、第2回目は放送されていません。

現在放映中の番組で話題になっているのが、"Big Brother"。(ジョージ・オーウェルの小説「1984年」に由来する言葉で、人々の生活を完全支配する人もしくは組織を意味します。)これは一種の競技なのですが、10人の若い男女が10週間にわたって、外界から完全にシャットアウトされた環境で共同生活をします。そして、一週間に一人ずつこの家から追い出されていきます。誰が立ち退きを迫られるかは、まず同居人の投票で候補者二人が決定され、視聴者の投票でそのうちの一人に絞られます。こうして、最後に残った一人が賞金7万ポンドを手にします。この10週間の同居生活は、風呂場やトイレを含め、各部屋に設置されたカメラで常時観察されているわけです。つまり、参加者にとっては、24時間全くプライバシーのない生活というわけ。この様子はインターネットでも公開されているそうです。もちろん、こんな番組に応募するくらいですから、参加者は自己顕示欲が強くて、有名になりたい人ばかり。わたしは最初の週の3日目を見ましたが、退屈に思いました。やっぱり普通の人間の、閉ざされた環境での24時間というのはそうそうおもしろいことは起こらないものです。まあ、あえて何か起こったというならば、自称アーチストの女性が裸になり、全身に絵の具を塗って壁に体を押し付け、魚拓ならぬ人拓を取り始め、それから何人かが裸になって彼女に加わったということくらいでしょうか。

もともとはオランダで好評を得た番組らしいのですが、最初にご紹介した「ネイキッド・ジャングル」然り、最近のイギリスのテレビ局というのは、どうも際物に走りがちです。ただただ視聴率が上がればいいというえげつなさが丸出し。わたしはこれまでイギリスのテレビ番組が好きだったのですが、最近の傾向はとても残念です。この番組、3週目に突入して、カップルが誕生したり、そのカップルが一緒に寝たというので話題になっているようです。ソープ(連続ドラマ)好きの国民性を考えるとそれも不思議ではないですが、その覗き見趣味につけこんで高視聴率を取ろうとしているチャンネル4はやっぱりあざとい。

● 親しき仲にも礼儀あり

というわけで、今回のテーマは、エチケット。といっても、ここで触れる簡単な挨拶の習慣についてです。あまり社交については自信がありませんので、もちろんアンチョコを用意してあります。このメールマガジンを以前から読んで下さっている方でしたら、もうすでにお察しでしょう。それは、ポール・バレルのエチケット講座です。ポール・バレル氏は、故ダイアナ妃の執事だった人で、二言目には、「王室では・・」と出てくるのが玉に傷ですが、まあそれが彼のセールスポイントなので仕方がないでしょう。

まず何と言っても、挨拶の代表的なものが握手。あまり力なく握るのも悪い印象を残すし、満身の力をこめるのもだめだそうです。適度に固く手を握り、2回ほど手を振った後、握った手をゆるめます。ただし、相手の腕が上下に動くほど振ってはいけないそうです。女性のほうから手を差し出さない限り、男性は女性と握手をするべきではないということをよく聞きますが、最近では、男性のほうから女性に手を差し出すことも少なくありません。逆に、男性が同性とは握手をして、女性のところでハタと止めたりすると、のちのち、性差別として訴えられたりすることもありますので、ご注意を。(実話ですよ。)ビジネスの場所では男女の区別なく手を差し出したほうが無難でしょう。女性同士でも、初対面の相手に紹介された時には、「はじめまして」の言葉と同時に手を差し出す場合が多いようです。ちなみに、初対面の人との挨拶には、"Nice to meet you." が多く使われます。"How do you do?" はちょっと堅苦しい感じ。

最近一般的になってきたのがキスの挨拶。ただし、これはイギリスでは、男性と男性の間ではありません。女性同士、女性と男性の間だけでしょう。それも、親しい間柄(家族や友人)になりますので、初対面でいきなりキスの挨拶ということはありません。「こんにちは」と「さようなら」の時に、キスをします。公衆の面前では唇へのキスは避けるべきですとポール・バレル氏はおっしゃっています。頬へのキスが挨拶としては一般的です。最初に差し出すのは右頬。わたしはこれを知らなくて、左頬を差し出し、危うく唇と唇が合いそうになったことがあります。実際に唇を頬につけることもありますし、頬と頬をあわせるだけの人もいます。イギリスでは片側にだけキスをするのが通例でしたが、ヨーロッパ大陸の習慣を受けて、最近では両頬に1回ずつキスをする人が増えてきました。それでも、まだイギリス人の中には、キスの挨拶に抵抗を感じる人が少なくないようです。もともと、イギリス人には大陸のヨーロッパ人ほど、肉体的接触の習慣がありません。

肉体的接触といえば、ハグ(hug = 抱き締めること)というのも、イギリスではそれほど見られません。上記のキスの挨拶の時に、軽く肩を抱く、あるいは肩に手を置くのは普通です。映画「ジェリー・マクガイア」には男性同士が抱き合うシーンがやたらと出てきますが、イギリスでもスポーツの世界では日常茶飯事になってきました。(スーパーバイクの世界選手権では、チームの男性メンバーの頬にキスをするイギリス人選手もいました。さすがにこれは異例のことのようで、わざわざ解説者がとりあげていたくらいです。)あるテレビ番組で、男性同士のハグについて一般の男性にインタビューをしていましたが、やはり、男性同士の肉体的接触については、肩に手を回すくらいまでだという意見が圧倒的でした。

そして、ポール・バレル氏は「職場の挨拶」ということで、短いほうがよろしいと述べています。ハローとスマイルの後に相手の名前(ファーストネーム)で十分だそうです。イギリス人は、このファーストネームの呼びかけを実によく使います。ファーストネームを最後に添えることによって、親しみを出すのでしょうね。

ファーストネームといえば、ちょっと話がそれますが、最近はレストランや美容院の予約、テイクアウェイ(持ち帰り料理)の電話注文などで、自分の名前を残す時、苗字よりも名前のほうを使う人が増えているようです。特に若い人は圧倒的に名前のほうを使うことが多いようです。でも、わたしは絶対に苗字ですね。だって、見ず知らずの人に、気安く「みちえ」なんて呼ばれたくありませんもの。でも、世の中の趨勢はファーストネームに傾いているようです。最近は、コンピュータの注文をすると、営業の人が「ハーイ、みちえ」なんていきなりファートネームで電話をかけてきます。古い人間といわれようが、わたしはやっぱり、最初は「ミセスXX」と呼ばれたいと思います。

さて、話は職場の挨拶へ戻って、「簡潔なほうがいい」でしたね。英語の教科書で、"How are you?" "I'm fine, thank you. How are you?" というやりとりを散々練習したものでしたが、この忙しい現代、職場ですれ違い様に、これを全部やっている時間はありません。最後のお返しの"How are you?" は省略されることもしばしば。若い人の間では、返事を期待しない "All right?" という挨拶もよく聞かれます。(もちろん、これは超非公式なので、ポール・バレル氏のエチケット講座には載っていません。)

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