Anglo-bites

 **イギリスつまみ食い**

第5回

第5回の目次
● クリスマスもすぐそこ
● クリスマスにはやっぱりかかせない・・・
Christmas cards, Christmas crackers, Christmas trees
● 一言イギリス英語講座 "agony aunt"
● 次回予告

● クリスマスもすぐそこ

いよいよ冬本番になってきました。外は寒いし、天気もどんより、いまいちぱっとしない。日の出は遅く、夕方は4時にはもう真っ暗。そうなると待ち遠しいのが、クリスマス。11月15日には、オックスフォード・ストリートのクリスマスのイルミネーションにも明かりが入りました。

この "Anglo-bites" でも、今回から3回にわたって、イギリスのクリスマスについて特集していきたいと思います。まず初めは、クリスマスを演出する小物から。

● クリスマスにはやっぱりかかせない・・・

クリスマスカード (Christmas cards)

今年は、11月8日に、クリスマス切手が発売になりました。今年のテーマは天使です。早い人はしっかりとクリスマス切手を確保し、計画的にクリスマスカードを書き始めます。12月初め頃から、クリスマスカードが舞い込み始めます。日本の年賀状のように、当日まで郵便局で保管し、一斉に配達するということはありません。というのは、いただいたカードは部屋に飾って、クリスマスまで楽しむからです。クリスマスカードを飾るための専用のホールダーなども売っていますし、安上がりでよく行われているのが、壁に糸を横に渡し、そこにカードの折り山を上にぶら下げる方法です。

こうして、カードはクリスマスから12日後の1月6日まで飾られます。イギリス宛てクリスマスカードは早めに出しましょう。クリスマス近辺になるとたいへん郵便が混み合うためです。ちなみにこちらから、日本にクリスマスカードを出す場合ですが、クリスマスに確実に間に合うようにするためには、12月5日までにカードを投函するようにと、郵便局では勧めています。

クリスマスクラッカー (Christmas crackers)

Xmas crackers ディナーパーティーを演出する憎いやつです。筒状になったクラッカーのくびれた端を二人の人がそれぞれ握り、同時に引っ張ります。すると、その時の摩擦によって、少量の火薬のついた細長い板紙のひもが、「パン!」とはじける音をたてます。そして、真ん中の部分がくっついてきたほうが、その中に入っているおまけをもらえることになっています。不公平を避けて、自分の前においてあるクラッカーは、どちらかが勝ってもその人のもの、という新ルールを採用するパーティーもありますが。)中に入っているのは、白い木綿糸でつながれた偽真珠の首飾りなど、だいたいの人がパーティーの後にテーブルに置いて帰るようなしょうもないものです。しかし、中には、フォートナム・アンド・メイソンの一個1、000ポンド(約20万円)もする素晴らしい(に違いない)クリスマスクラッカーもあります。(いったいこういうのの中には何が入っているのでしょうね。)

このおまけの他には、モットー (motto)と呼ばれる引用句や、しょうもないジョークや(クリスマスクラッカーのジョークといえば、それだけで力のない笑いが人々の顔に浮かぶくらいです。)なぞなぞというか駄洒落のようなものが入っています。また、薄っぺらな紙でできた帽子(だいたい王冠型をしている)も入っていて、これを老若男女、みんなでかぶって、童心に返り、パーティーを楽しみます。こう書くと、なんだかたいへん情けないもののようですが、クリスマスパーティーには欠かせないすぐれものです。日本に是非輸出したい一品です。

このクリスマスクラッカーは、1847年にトム・スミス (Tom Smith)という人によって発明されました。去年はクリスマスクラッカー生誕150年を記念して、クリスマス切手のテーマにもなりました。(5種類の切手には、クリスマスクラッカーを持つサンタクロースが描かれています。)

もともと、トム・スミスという人は、菓子職人で、新しいアイディアを求めて、1840年にパリを訪れた時に、ボンボン(糖衣でくるまれたアーモンド)に出会います。この両端をひねった紙に包まれたボンボンが、クリスマスクラッカーの原形となったわけです。この案はトム・スミスの頭の中で暖められ、たまたま暖炉の火がはじける音を聞いた時、その音とボンボンの形が結びついて、クリスマス・クラッカーが生れました。クリスマス・クラッカーはクリスマスの習慣の一部としてイギリスに根づくようになります。トム・スミス社では、今日でも王室の方々のために特別なクラッカーを作っているということですが、そのデザインと内容は秘密だそうです。

王室に限らず、クリスマス・クラッカーの特別注文をトム・スミス社では受けていたようで、1927年、この会社のもとに、ダイヤモンドの婚約指輪と共に、クラッカーの代金の10シリング札が同封され、婚約者のために特別なクラッカーを作ってほしいという手紙が届きました。ところが、この手紙には差出人の住所がなく、トム・スミス社では連絡をとることができず、とうとう特注クラッカーは作られずに終わったようです。この指輪と手紙と10シリング札はいまだに会社の金庫に保管されているそうですが、この男性ただ単におっちょこちょいな男性だったのか、それとも・・・?ちょっとしたミステリーですね。

クリスマス・ツリー (Christmas trees)

最近では、プラスチックの組み立て式も出ています。一年に一度しか使わないものなので、再利用ができるということと、収納が楽という点で、すぐれていますが、やっぱりわたしは生木派です。あの木の匂いはプラスチックにはまねできませんもの。生木のクリスマスツリーは、園芸センター (garden centres)を初め、ホームセンター (DIY shops) などの店や、パブの駐車場や道路脇など、いろいろな場所で買うことができます。最近は、小さなバケツ型のクリスマスツリー・ホールダーがでまわっていて、この中にツリーを入れて、バケツの中の水をこまめに補充すると2〜3週間は十分もちます。木にも、葉(needles) が落ちないタイプもあります。また、葉が落ちるのを防ぐためのスプレーもあります。(それでもやっぱり落ちますが。)こうして飾ったクリスマスツリーの下に、プレゼントを置きます。12月25日までは、プレゼントを開けることはできません。そして、クリスマスから12日 (Twelve Days of Christmas) 後の1月6日 (Twelfth Day)には、クリスマスツリーを初め、すべてのクリスマスの飾りが取り除かれます。この日を過ぎても、クリスマスの飾りがそのまま残っているのは、たいへん縁起の悪いこととされています。(ちょっと、日本の雛人形のようですね。)また、早く片づけるのも、やっぱり縁起が悪いと信じられています。リージェント・ストリートやオックスフォード・ストリートのクリスマスのイルミネーションもこの日で終わりです。

● 一言イギリス英語講座 "agony aunt"

新聞や雑誌の人生相談コーナー (agony columns) の回答者(主に女性)のことを言います。 "agony" は苦痛、苦悩のことです。

11月14日はチャールズ皇太子の50歳の誕生日で、この週末は新聞で、彼の生れた1948年の特集をくんでいました。その1948年の人生相談コーナーの質問は、現代に比べるとずいぶんのどかなものが多かったようです。たとえば、都会育ちの女性が田舎住まいの男性と結婚し、田舎に住むようになったものの、一日の家事を終えると何もやることがない、ロンドンの喧騒が懐かしい、というものです。これに対する agony aunt のお答えは、「ウサギやホロホロチョウの飼育をしたり、養蜂をしたりすれば?」というものでした。戦勝国とはいえ、イギリスでも食糧は配給制という戦後の厳しい食糧事情がうかがえる回答です。

また、こんな質問もありました。正式には婚約をしていないものの、この3年間わたしにずっと優しくしてくれている男友達がいます。クリスマスプレゼントをしたいのですが、あまり目につかない形であげられる何かよいプレゼントはないでしょうか?わたしの伯母は、婚約もしていないのに、男性にプレゼントをあげるべきではない、というのですが・・。こういうのが、当時の女性の悩みだったのですね。ちなみに agony aunt のお答えは、本が無難なところで、他にはシガレットケース、万年筆、財布、小さなアタッシェ・ケースなどいかが、ということです。また、質問者の伯母さんの発言についてですが、なぜそんなことを言うのかわからない、多くの人がクリスマスにちょっとしたプレゼントを交換するし、商売を盛り立てるためにこの習慣を続けていきましょう、ということでした。みなさん、日本経済のためにせっせとクリスマスのプレゼント交換をしましょう。

● 次回予告

あと5週間でクリスマスです。クリスマス特集第2回目は、「クリスマスの行事と習慣」、3回目は、「クリスマスの食べ物」で、クリスマスを迎えたいと思っています。

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