Anglo-bites

 **イギリスつまみ食い**

第59回の目次
● イギリスつまみ食い流美容院ガイド(1)
● わたしの美容院歴

● イギリスつまみ食い流美容院ガイド(1)

たいへんご無沙汰いたしました。イギリスとスペインを行ったり来たりしていると、時間が経つのがとても早く感じられます。配信元のまぐまぐによると、最後にこのメールマガジンを発行してからそろそろ6ヶ月になるそうです。今月末までに発行しないと廃刊するぞという警告まで来てしまいました。廃刊はしたくないので、急いで新しい号を発行するに至った次第です。

さて、6ヶ月ぶりの今回のテーマはイギリスの美容院です。昨年夏のパブガイドに続き、ワタクシ流に今回はイギリスの美容院でのお作法と注意点をご紹介したいと思います。

イギリスの美容院はほぼ全部予約制です。たまに飛び込みで行って、手の空いている美容師さんがいたりすると、その場でカットくらいならしてもらえることもありますが、事前に電話か直接出向いて希望の時間に予約をとるのが無難です。

予約時には、希望の日時を告げますが、このときにもし特定の美容師さんを指名する場合にはその名前も指定します。わたしの知る限りでは、特に指名料を請求する美容院はないようです。この後、何を希望するか聞かれることがあります。普通のカットは、"cut and blow dry"となります。パーマは"permanent waving"あるいは単に"perm"ですが、わたしは絶対にお勧めしません。懇意にしていた日本人美容師さんによると、イギリスで使用されているパーマ液は強すぎるのだそうです。その方はロンドンにある日本人客の多い日本人経営の美容院に勤めていましたが、ここだけの話ということでささやくように教えてくださったのは、この店ですらパーマはかけないほうがいいということでした。わたし自身、今から10年ほど前にイギリス人の美容院でパーマをかけたことがありますが、結果は散々でした。強くかかりすぎてしまうのです。見た目も失敗でしたが、もっとショックだったのは髪がすっかり傷んでしまったことです。この事件の後通い始めた日本人美容院で、髪を伸ばしてはパーマをかけた部分を切ってもらい、すっかり健全な髪になるのに約半年ほどかかりました。それ以来、パーマはかけたことがありません。わたしの日本人の友人も数十年前にパーマをかけたことがあるそうですが、美容院に行った足でそのままかつらを買いに行き、2ヶ月間かつらをかぶって過ごしたそうです。彼女もその後2度とパーマをかけたことがないのは言うまでもありません。

イギリスのマスコミで恐怖の美容院体験談というのがときどき取り上げられますが、パーマにまつわるものが多いようです。以前、イギリスの賠償金文化(コンペンセーション・カルチャー)についてこのメルマガでも取り上げたことがありますが、美容院を相手取った損害賠償訴訟も近年増えています。パーマ液という化学薬品を扱う商売ですから、間違えれば身体の危険にかかわることになります。そんな分野でありながら、イギリスでは美容師には正式の資格は義務付けられていません。NVQという国家職業資格が一応の知識と技術を持っているという目安にはなりますが、法的には、誰でも何の知識もなくても美容師として仕事ができるわけです。

さて、予約時にはこの後名前を聞かれます。レストランの予約でも何でも、名字よりは名前のほうを名乗るのが若い人たちの間で見られる最近の傾向ですが、見ず知らずの人にいきなり名前で呼ばれるのに抵抗のあるわたしは、名字のほうを告げるようにしています。(もっとも、日本語の名前よりは英語の名字のほうが相手にもわかりやすいであろうというのが第一の理由ですが。)その後、連絡先の電話番号を聞かれることもあります。たぶん無責任な予約を避けるための予防手段なのではないかと思われますが、過去1度だけ美容師さんが予定を変更してほしいというので連絡をもらったことがあります。

さて、こうして予約が済み、その当日になります。当日の重要な心がけとしては、美容院に行った後には予定を入れずにまっすぐ家に帰ることをお勧めいたします。止むを得ずそのまま外出しないといけない場合には、着るものに十分配慮しましょう。イギリスの美容院では、カットクロスは単なる覆いとしか考えられていません。首の周りをきちんと締めてくれないので、カットが終わった後にはクロスの下は切った髪だらけになっています。わたしの友人が日本から休暇でイギリスに行ったときに、高級美容院でカットをしてもらったそうですが、織り目の粗い服を着ていったため、切った髪が織り目に入り込んでたいへんな目に合ったということです。トイレで髪を取り除き始めたところ、あまりにも長い時間かかったので、気分でも悪くなったのかと美容師さんが心配して様子を見に来たそうです。織り目の粗い服は避けましょう。

まず美容院に入ったら、受付のデスクで自分の名前と予約の時間を告げます。すると、お荷物とコートをお預かりいたします、ということになります。ハンドバッグなどは預けてもまず安全です。ただし、後に述べるように、チップを渡すときに財布の入ったバッグを手元に置いておくと便利かもしれません。

この後、シャンプー台のほうに招かれますので、そちらに向かいます。「どこかかゆいところがおありですか?」とは決して聞かれません。なされるままにまかせましょう。シャンプーは経験の浅い見習の美容師さんがし、その後別の美容師さんがカットなりセットなりをするのが普通です。ここで、シャンプーをしてくれた見習の美容師さんにお礼のチップを渡してもよいでしょう。シャンプーが終わると、鏡の前のカット台のほうに案内されます。

というところで、今回はおしまいです。続きは次号で。

● わたしの美容院歴

美容院は単に髪の手入れをしてもらうところという以上のものではないでしょうか。お世話になった美容師さんとはどうも縁を断ちがたく、今でも日本に帰ると、かつて通い続けた原宿の美容院になつかしの美容師さんの顔を見に行きます。2年前に帰国したときには、6千円を払ってこの美容師さんにカットしてもらうか、おいしいものを食べるか悩んだ挙句、美容院を断念しました。でも、次回帰国の際にはぜひまたこの美容師さんにお会いしたいと思っています。

イギリスでは初めイギリス人経営の近くの美容院2軒に合計4年ほど通いました。その後、郵便局兼雑貨屋とパブ2軒しかないビーン村に引っ越してからは、ロンドンの職場に近い、日本人美容師さんのいる日本人経営の美容院に通い始めました。ここでは日本流にきちんとカットクロスを首の周りで締めてくれるので毛だらけになることがあません。それに、最後にマッサージをしてくれるのが最大の魅力です。このマッサージはイギリス人にも人気で、イギリス人客も多く見られます。

余談ですが、ドイツ人は肩がこらない、それはドイツ語に肩こりと言う言葉がないからだという話を聞いたことがあります。実際には、ドイツ人も肩がこるようです。ペドロランド近くの砂浜に韓国人の指圧師が昨年から出没しているらしいのですが、近所のドイツ人が「肩をもんでくれるのがとてもきもちがよい」といたく感動していました。

夏に2ヶ月イギリスに帰るときには、行きつけであった美容院に行って美容師のマリコさんとおしゃべりするのが楽しみなのですが、スペインでは、もっぱらイギリス人の美容師さんのお世話になっています。最近では近所にイギリス人経営の美容院も出来てきましたが、わたしのごひいきは出張美容師のマンディーです。公共の交通機関のないこの辺りでは、車で自宅まで来てくれるのはとてもありがたいことです。イギリスでも出張美容師はお年寄りやからだの不自由な方たちの間でとても重宝がられてるようです。向こうから来てくれるので移動の時間がない分、時間の節約にもなります。値段が安いのも魅力。もともと物価の安いスペインですが、出張美容師のカット代金(シャンプーなし)は13ユーロ前後(約1,720円)です。美容師側としては、店舗を持つ費用がない分安くサービスを提供できるのでしょう。ただし、問題点は散髪が終わった後、家中が毛だらけになること。家の掃除は散髪の後まで待つことにしています。それから、自分自身も毛だらけになります。幸い自宅ですから、美容師さんが立ち去るなり、着ていた服はすべて洗濯機に投げ込み、シャワーに飛び込みます。せっかくムースを使って美しくセットしてくれたのに申し訳ないのですが、このままでは家中が毛だらけになってしまうのでしかたありません。

それでは、次号でまたお会いしましょう。次号では理容室(床屋さん)についても簡単に触れたいと思っていますので、男性読者の皆さんもよろしくお付き合いください。

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