Anglo-bites

 **イギリスつまみ食い**

第76回の目次
● イギリスのナンバープレート
● セント・スウィジンズ・デーの伝説

● イギリスのナンバープレート

  みなさま、この7週間、いかがお過ごしだったでしょう?今回は、本誌にしては珍しく6ヶ月と空けずに発行することができて、ちょっと自己満足に浸っています(レベルが低くて、すみません)。今回から何回かに分けて、車関係のお話をしていく予定ですが、まず今回は、ナンバープレートの話。

北アイルランドを除くイギリスでは、2001年9月1日から新しい自動車登録番号制度が導入されていますが、これに従った登録ナンバーは、7つのアルファベットと数字との混合から成っています。最初の2つのアルファベットは、最初にその車が登録された場所(運転免許庁(DVLA)の地方事務所)を示し、次の2つの数字が登録された年を示します。最後の3つのアルファベットは無作為に選ばれ、登録時にディーラーに割り当てられます。例えば、「KX56 LYY」というナンバープレートの場合、この自動車は、ノーサンプトンの運転免許庁事務所で、2006年9月1日から2007年2月28日までの間に最初に登録されたということになります。この仕組みだと、2050年まで現行の制度で対処できる見込みです。

また、1973年1月1日以降に製造された車は、反射素材でできた、前は白地、後ろは黄色の地に黒の文字のナンバープレートを付けることが義務付けられています。

要点から先に言うと、イギリス(北アイルランドは独自の登録制度を施行しているため、ここで、イギリスと言うときには、北アイルランドを除きます)のナンバープレートは車の年齢に重点が置かれています。イギリスでは、所有者が変わったり、異なった地域に引っ越した場合にも、再登録をする必要はありません。従って、上述したとおり、ナンバープレートに示される登録場所は、あくまでも最初に登録された場所であり、必ずしも車の現在の所有者の居住地と関連しているわけではないのです。フランスやスペインなどで、非常に古く見える車が新しいナンバープレートを付けているのをよく見かけますが、これなどは再登録のケースでしょう。イギリスでは、新しい車が古いナンバーを付けているケースはあっても(これについては、後述します)、その逆はありえません。

フランスやスペインでも、自動車台数の増加に伴い、現行制度で発行可能なナンバーが底を突き、近年、新しい自動車登録番号制度が導入されました。イギリスと異なるのは、それまで車の登録場所が登録ナンバーの中に含まれていたのに、新しい制度では、それがなくなったことでしょう。フランスでは、特にそれについて猛反対が起こったそうです。古いナンバープレート制度では、最後の2桁が県番号でしたが、新しい制度では県番号が姿を消したからです。この県番号というのは、不思議にフランス人の意識の中に浸透しているもののようです。郵便番号の一部をもなしています。ブザンソン出身の人と話をしたときに、「ドゥー県。知らない?県番号25だよ。」と言われましたが、なんだか変わった観念だなあと思いました。「山口県。知らないの?県番号16だよ」とか言われた感じです。山口県を知らなかったら、県番号何番と言われても、当然わからないでしょう。ドゥー県を知らなくても、県番号を言ったらわかるだろうという発想は、外国人の理解を超越していると思いました。

話がフランスに逸れてしまいましたが、要するにわたしが言いたかったことは、フランス人はそれほど自分の住んでいる県に愛着を持っているということです。結局、反対に出会った当局は、登録番号の一部ではなくて、プレート内の一角(フランスを示す左端のFとは反対側にあたる右側の青の四角内)に、県番号を表示することで、妥協を図ったようです。

日本でも、ナンバープレートの地域名は、重要性を持っています。湘南ナンバーは、常に憧れの的であったと記憶していますし、今でも関東ではもっとも人気のあるナンバープレートのようです。また、わたしの住んでいた地域は、1985年に多摩ナンバーから新しくできた八王子ナンバーに編入されましたが、それ以降、現在も依然として、多摩ナンバーと八王子ナンバーとのどちらがいいかという議論は続いているようです。地域振興を目的のひとつとして、2006年に導入されたご当地ナンバー制は、ナンバープレートにおける地域名の重要性を如実に表した例とも言えるでしょう。

こうした外国の例と比較すると、イギリスのナンバープレートにおける地域名の重要性はずっと低いと言えると思います。交通事故や自動車を使った犯罪、あるいは自動車関連の犯罪が発生したときに、目撃者がナンバープレートを認識する場合、最初の2桁がもっとも記憶に残りやすいということから、新しい登録制度では、最初の2桁に登録場所を表すアルファベットが用いられることになったようですが、これはあくまでも、警察がナンバープレートをデータベースでチェックするときに、登録管轄局が絞られ、スピードアップを図ることができるという利点に限られており、一般の人が一目で登録場所を識別できるものではありません。

イギリスの現行ナンバープレートの数字部分がもっとも重要な車の年齢を表しているわけですが、現制度施行開始の2001年9月以降6ヶ月以内に登録された車は51、2002年3月から6ヶ月以内に登録された車は02、2002年9月から6ヶ月以内に登録された車は52、という具合になります。1999年まで登録番号は1年に1度、8月1日に変更することになっていましたが、この制度のもとでは、8月1日に新しいナンバープレートを求めて車を購入する人が急増し、新車売上台数が激増するものの、その他の月には売上が振るわず、特に7月に買い控えが起こるのを懸念したディーラーからの要請もあり、1999年3月から、年2度ナンバーが変わるようになりました。これによって旧制度は、急速に登録番号の限界に至ってしまったため、2001年9月に新しいナンバープレート制度が導入されたわけです。

上述のとおり、ナンバープレートの登録場所はあくまでも記号であり、フランスや日本のように、愛着を感じる人はいないでしょうが、イギリスでは、別の方法でナンバープレートに愛着を持つことができます。それが、"cherished"あるいは"personalised"ナンバープレートと呼ばれるものです。

これは、アルファベット部分が、自分の名前の頭文字や愛称などを表したナンバープレートを指し、このようなナンバープレートは車を買い換えても、手続きさえすれば、新しい車に移行することが可能です。基本的にイギリスでは、一度車は登録されれば、廃車されるまで、ずっと同じナンバープレートが使用されるのは上述したとおりですが、これが例外に当たるわけです。また、このようなナンバープレートは、DVLAあるいはその代理会社を通して取引もされており、人気のありそうなナンバープレートにはプレミアムがついています。ウィキによると、2008年には、S1というプレートが、オークションで40万ポンド近い高値で落札されたとのことです。

それゆえ、このようなナンバープレートは、ステータスシンボルにもなるわけです。わたしの勤めていた会社の役員は、自分の車すべてに、自分の苗字である3文字のアルファベットに続いて1、2、3…という番号がついたナンバープレートを持っているという噂がありました。

パーソナル・ナンバープレートは、車の年より古いものが使われる分には問題はありませんが、そのプレートの年より古い車に移行することは禁じられています。これは、消費者保護の立場からだそうですが、いかなる場合も、車を本当の年より若く見せることは違法となるわけです。

これは、輸入車の場合も同じです。イギリスは日本と同じ左側通行であるため、右ハンドルの日本車の輸入車数は少なくありません。輸入時には、車両の再登録が行われ、イギリスのナンバープレートが与えられますが、この場合、ナンバープレートは、登録時の年ではなく、その車が最初に日本で登録されたときの年を反映したものとなります。イギリスで買った日本車をスペインで再登録したことがありますが、スペインでは新車同様のナンバープレートを与えられました。イギリスでは、年のさば読みは、いかなる場合も厳禁なのです。

● セント・スウィジンズ・デーの伝説

イギリスには、セント・スウィジンズ・デーに雨が降ると、その後40日間雨が続く(あるいは雨であれ、晴天であれ、その日の天気がその後40日間続く)という伝説があります。

 

800年頃にウィンチェスターで生まれ、ウィンチェスターの主教となった聖スウィジンが亡くなったとき、戸外に葬ってほしいという遺言を残しました。その後9年間この願いはかなえられていましたが、雨に打たれ、人々に踏みまれるのをしのび難く思った僧侶たちが、見かねてウィンチェスター大聖堂内に遺体を移し、廟にまつろうとしたところ、嵐に見舞われ、雨は40日間降り止まず、この作業が滞ったことから、このような伝説が生まれたそうです。

この伝説は、過去55年間の統計によって、真実ではないことが証明されているようですが、今年の7月15日は、イギリスは雨で、その後かなり長い間雨降りが続いたようです。興味深いことに、フランスにも同じような伝説があるそうで、その日は聖メダールの日、6月8日にあたります(わたしは、その日はまだイギリスにいたので、どんな天気だったのかを知りませんが)。

前回水不足について書いた後、イギリスでも、ここフランスでも、お天気が崩れ、渇水よりは洪水のほうが心配な日が続きました。が、現在は、夏が戻ってきた感じです。休暇でスペインに行くのが待ち遠しいと、それまでイギリスの天気にうんざりしていた友人も、これならもうしばらくイギリスにいてもいいと思っているだろうと思ったのですが、先日は、暑さで線路が曲がり、電車が大幅に遅れて、仕事に遅刻したとこぼしていました。暑ければ暑いで、また問題のようです。もっとも、もうまた天気は変わって、涼しくなる予報のようですが。

日本では今年は猛暑のようで、節電の折、熱中症の被害も心配されますが、みなさま、くれぐれもご自愛ください。

最後までお読みくださって、どうもありがとうございました。次号では、引き続き車関係の話題を取り上げる予定でいます。それでは、次号でまたお会いいたしましょう。

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