Anglo-bites

 **イギリスつまみ食い**

第81回の目次
● ロイヤルベビー
● 2H13

● ロイヤルベビー

次号ではロイヤルベビーの話題を取り上げますと7月に宣言しておきながら、5ヶ月が経ってしまいました。ご無沙汰して申し訳ありません。

さて、7月24日にウィリアム王子とキャサリン妃に王子が誕生しましたが、前号の後記にも書いたとおり、イギリスに、ロイヤルベビーブームが席巻しました。が、それもつかの間、あっと言う間に熱狂は冷めてしまいます。その後のアンケート(YouGov調査)によると、非常に興味がある(14%)と、かなり興味がある(32%)と足した数は、あまり興味がない(29%)と全然興味がない(24%)を足した数を若干下回り、実は、マスコミが騒ぎ立てたほどのブームではないことが浮き彫りとなりました。

また、この調査では、王室に対する関心は、その人の政治的傾向とも関係があることが示されています。保守党支持者の60%がロイヤルベビーに興味があると答えており、これは、労働党支持者の60%が興味がないと答えたのと対照的です。保守党支持者は、一般的に伝統を重んじ、因習的な価値を大切にする傾向が強いため、王室への関心も深いのではないかと思われます。

さらに、性別でも対照的な結果が明らかになっており、女性の60%が興味があると答えたのに対し(38%が興味なし)、男性では逆に68%が興味がないと答えています(29%が興味あり)。王室関係の話題が、「ハロー」マガジンなど、女性を対象にしたゴシップ誌の目玉になっていることを考えるとこれも納得のいくことではないでしょうか。

地域別では、イギリス北部とロンドンとで、それぞれ56%と53%が興味がないと答えたものの、ロンドン以外のイギリス南部は、唯一興味がある(50%)が興味がない(49%)を上回った場所となっています。これは、支持政党分布と一致しており、イギリス南東部は、主に政治的に若干右寄りであり、保守党の票田として知られています。それに対して、イギリス北部(特に都市部)では、一般的に労働党支持者が優勢を占めています。

さて、このロイヤルベビーの誕生が歴史上非常に重要な意味を持っていたのは、、誕生前から、性別にかかわらず、将来のイギリスの君主となることが決まっていたということでしょう。今年成立した法律により、直系の王位継承者に生まれた子供は、男児であれ、女児であれ、将来の国王・女王となることが決定しました。

王位継承権に関する新しい法律は、2011年に、副首相のニック・クレッグによって草案され、その年の10月、ウィリアム王子の婚約が発表される数日前に、英国君主を元首とするコモンウェルス・レアルムの英国を除いた15カ国(カナダ・オーストラリア・ニュージーランド・ジャマイカなど)の原則同意を取り付けました。こうした国でも、同様に議会を通過し、法制化する必要があるからです。翌年12月、キャサリン妃の妊娠が伝えられる数日前に、コモンウェルス加盟国が、さらに具体的な同意に至り、英国では、今年4月22日に新しい法律が成立しました。

ちなみに、この法律改正によって、英国君主のカトリック教徒との結婚も認められるようになりました。しかし、カトリック教徒を含む、プロテスタント以外の信者が王位を継承することは、依然として禁止されており、スコットランドを中心に王位継承法に対する批判は残っています。

イギリス人は、なんでも賭けることが好きですが、ロイヤルベビーもまた、賭けの対象として、大人気となりました。ブックメーカー・コーラル社によると、ロイヤルベビーをめぐる賭けは、スポーツ以外では、同社創立以来、最大の賭け金収入をもたらしたそうです。まず、誕生の日の予想、次いでは、性別。誕生が近づくにつれて、ロイヤルベビーの名前の予想が盛んになりました。ロイヤルベビーは女子との予想が当初高かったこともあり、本命は女子の名前。その中でも、アレクサンドラが一番人気でした。男子の名前では、ジェームズが一番人気があり、ジョージとヘンリーがそれぞれ2位と3位。以下、アーサー、ルイ、アルバート、アレクサンダー、ベンジャミン、デビッド、フィリップと続きます。伝統的な国王の名前(ジェームズ・ヘンリー・ジョージ)が人気があったのは、うなずけますが、どれも代々王室とはゆかりの深い名前ばかりです。

7月24日に、ロイヤルベビーの名前が公表されました。ジョージ・アレクサンダー・ルイがその名前です。以前、ホームページ版の"Anglo-bites"(イギリスつまみ食い)の中で、イギリス人の名前について取り上げたときにも書きましたが、イギリス人は家系に伝わる名前を重要視します。特に、上流階級では、寿限無ではありませんが、多くのミドルネームを持った人が多く見られます。よい家柄ほど、敬意を払うべき優秀なご先祖様が多いということなのでしょう。もちろん、ロイヤルベビーも例外ではありません。ジョージは伝統的なイギリス国王の名前というだけでなく、チャールズ皇太子のミドルネームの1つでもあります。アレクサンダーの女性形・アレクサンドラは、エリザベス女王のミドルネームの1つです。ルイは、ロイヤルベビーの父親・ウィリアム王子のミドルネームの1つであり、また、チャールズ皇太子の大おじにあたり、国民からも尊敬されたマウントバッテン卿のファーストネームでもあります。ロイヤルベビーは、正式には「プリンス・ジョージ・オブ・ケンブリッジ」と呼ばれ、国王となった暁には、ジョージ7世となります。

10月23日にセント・ジェームズ宮殿で、クリスニング(命名式)が行われ、再びロイヤルベビー関係の話題が新聞を賑わしました。特に、キャサリン妃退院時のお披露目写真以来、初めての王子の公式写真とあって、マスコミは大騒ぎ。クリスニングの話題は、このメルマガでもすでに取り上げましたが、命名式は洗礼式を意味し、本来宗教的なものでしたが、今日では、すっかり社交的な意味のほうが大きくなっています。伝統的に子供の宗教上の指導役となるゴッドペアレントには、ザラ・ティンダル(ウィリアム王子のいとこ)ほか、ウィリアム王子とキャサリン妃の大学時代の友人や私設秘書など6人が選ばれています。

 

近年は幼年の王族に対するマスコミ規制が厳しいため、しばらくロイヤルベビー関係の話題も影をひそめることになることでしょうが、また何かの機会に、将来の国王が注目を集める日が来ると思われます。

● 2H13

ご無沙汰しました。この5ヶ月の間、イギリスに2週間半滞在し、フランスに戻って1ヶ月滞在した後、10月半ばにスペインに越冬のため移動しました。4月末まで、スペイン暮らしを続ける予定です。

今年は、フランスとスペインに、初めて日本からの友人たちを迎えました。特に、スペインへは、日本からの直行便が現在ないため、長い道のりを飛行機を乗り継いで、わざわざ来てくれた友人2人には感謝しております。さすが旅慣れた2人だけあると感心しました。

最後までお読みくださって、どうもありがとうございました。それでは、次号でまたお会いいたしましょう。みなさま、楽しいクリスマスとよいお年をお迎えください。

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