Anglo-bites

 **イギリスつまみ食い**

第85回の目次
● ロイヤルベビー(2)
● インターネットコミュニティー

● ロイヤルベビー(2)

ちょっと遅くなりましたが、5月2日に誕生したケンブリッジ公爵(ウィリアム王子)の第二子についてのお話をご紹介したいと思います。ちなみに ロイヤルベビーの第一弾は、第一子のジョージ王子にちなんだ話をまとめて、2013年12月に発行されました。

5月2日午前8時34分に出産。その後12時間も経たないうちに、颯爽と黄色の花柄ワンピースに身を包み、生まれたての王女を抱いて、病院の前に集まった一般大衆とメディアに向かって、微笑みながら手を振ったキャサリン妃には、世界中が驚愕したものです。私の日本の母を含め、純粋に感心する人も多かったものの、ツイッターをはじめ、ソーシャルメディアでは、嫉妬から批判をする女性が多かったそうです。つまり、自分が出産したときには、10時間後は、まだ髪を振り乱し、ネグリジェで疲れきってベッドに横たわっていたものだが、きっとキャサリン妃には、お付きの人がたくさんいて、生まれたての赤ん坊と産婦の世話をせっせとしてくれたのだろう、そういう余裕のある人はいいものだというわけです。

実際、キャサリン妃にはお付の美容師がいて、午後1時に病院入りしたのが目撃されているということですから、出産後わずか10時間以内で新生児を抱えて退院という偉業を美しく成し遂げることができたのは、それぞれ専門の人たちの努力と協力があってこそのことでしょう。

一方、こうした批判に対して、『では、もしキャサリン妃がトレーニングウェアで、ぼさぼさの髪を後ろで一つに束ね、スニーカーを履いて公衆の前に現れたら、いったいどんな反応を引き起こしたことか』という意見もありました。まったく同感です。美しく登場しても批判を受け、庶民同様の現実的な姿で現れてもやっぱり非難を浴びたでしょうから、一般大衆には勝てません。

今回も、ロイヤルベビーは賭けの対象として人気でしたが、5月7日の総選挙に時期的に重なったために、前回ほど大きな話題にはなりませんでした。第二子ということで、王位継承順位が下がることもあったかもしれません。今回は、誕生からわずか2日以内に名前が発表されるというスピーディーさ。エリザベス女王にケンブリッジ公爵夫妻が王女を直接お披露目し次第、名前を公表するという段取りのよさで、今回は、「果たしてロイヤルベビーの名前は?」という予想は、盛り上がる前に終わってしまった感があります。

名前の本命は長い間アリスでしたが、直前にシャーロットが急に最有力に。どちらも王族の名前として歴史があります。シャーロットはまた、キャサリン妃の妹ピッパ・ミドルトンのミドルネームでもあるそうです。が、誕生を前に大きな話題は、ウィリアム王子の生みの母である故ダイアナ妃の名前が選ばれるかどうかということでした。「テレグラフ」紙サイトの読者フォーラムでは、圧倒的にダイアナと命名すべきではないという意見が多かったそうです。亡くなった今でも、世論の分かれる人物と言えるでしょう。

蓋を開けてみると、シャーロットが第一の名前となり、エリザベス・ダイアナがミドルネーム。センチメンタル派の間では、ダイアナの名前を入れたことは大好評でした。ダイアナがファーストネームになることはまずありえなかったそうです。その理由は、ただでさえ、王女として生きていくのは世間の注目の的になってたいへんなのに、この上、ダイアナの名前を背負ったら常に比較されて気の毒。王女には、王女独自の人生を送ってほしいというのが、両親の願いだったからだそうです。

エリザベスという名は、もちろん曾祖母に当たる現女王に敬意を表して。シャーロットは、チャールズの女性形であることから、祖父のチャールズ皇太子をも立てたことになります。国内ではハリーというニックネームでしか呼ばれない叔父のヘンリー王子のように、シャーロット王女がチャーリーと呼ばれるようになるのも時間の問題でしょう。特に、現代のイギリスでは、男子のニックネームを女性が名乗るのがとてもトレンディーですから。

名前と言えば、大分県高崎山自然動物園の猿の話もイギリスでは話題になりました。公募に基づいて、新しく生まれた動物園の猿に「シャーロット」という名前を付けたところ、「猿に王族の名前をつけるなんて、英国王室に対しての不敬」「もしイギリスの動物園で生まれた猿に日本の皇族の名前がつけられたら、日本人は抗議するだろう」(これはBBCのサイトからの引用なので、日本での事実に忠実かどうかはわかりません)という非難が殺到したため、動物園側が謝罪、というのが、イギリスでの報道です。読者の投稿が併載されていた「デイリー・メール」紙のサイトでは、「なぜ謝罪する必要があるのか?」という投稿に1000を越える賛成票が集まっていました。それに対する返答としても、「キュートだ」「素敵なジェスチャー」と好意的なものばかり。むしろ、日本での英国王室人気が反映されたほほえましい逸話というとらえかたが多かったようです。猿に王族の名前を付けることは敬意を欠くという考え方は、イギリス人の間にはほとんどなかった模様。

6月6日、キャサリン妃の撮影したシャーロット王女とジョージ王子の写真が発表され、大人気。また、同日行われたTrooping the Colour(女王の公式誕生日を記念する軍隊のパレード)では、もうすぐ2歳になるジョージ王子のかわいらしいしぐさが話題をさらいました。

 

また、7月5日には、シャーロット王女の命名式が行われることになっており、ロイヤルファミリーはまた国民の話題に上ることでしょう。

● インターネットコミュニティー

ご無沙汰いたしました。6月初めにスペインからフランスに移動し、8月末のイギリス滞在まで、3ヶ月のフランス生活に入っています。

さて、上記の話題にもあるように、どうもソーシャルメディアやインターネットでは、ネガティブな意見のほうが大きく取り上げられる傾向があると思います。

あるアメリカ系のスポーツサイトの話ですが、昔は特定のチームのファンによる希望的な記事や建設的なアイデアなどが中心で、負けが続いているときでも勇気付けられたものですが、最近は、中立的かむしろネガティブな記事が多くなっているのが、たいへん残念です。わたし自身、試合批評などを個人的なサークルのために書いているので、このサイトに投稿することをしばしば夫から勧められるのですが、読者の反応を予想すると、とてもその勇気がありません。

まず、他のチームのファンによる"troll"(議論をけしかけたり、他人の神経をさかなですることを目的とした扇動的なコメントを投稿する)行為が多くなってきたことでしょう。昔は、他のチームのファンが特定クラブのスレッドにコメントすることは、滅多にありませんでした。また、何か前向きな発言や希望観測的な記事を書くと、こうした他チームのファンに加え、「現実的な」(つまり否定的なということですが)自チームのサポーターからの「幻惑されている、現実を直視せよ」という大合唱に遭遇します。インターネットコミュニティーは、住みにくい場所になってきました。

現在西ヨーロッパにはアフリカからの熱波が到来しており、スペインからフランス、イギリスに至るまで真夏の陽気が続いています。スペインから避暑のためにフランスに移動したのに、これではあまり違いがありません。地球温暖化につれ、さらに北に引っ越す必要があるかも?

最後までお読みくださって、どうもありがとうございました。それでは、次号でまたお会いいたしましょう。

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