■◇■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2000.12.11 ━■
Anglo−bites (イギリスつまみ食い)
` 増刊号 vol. 30
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読者の方からのお便りをご紹介するという本来の意味での増刊号としては、
久々の発行になります。先週発行した「イギリスの騎士道は死んだか?」につ
いては、やはり大切なのは他人を思いやる心というところで、多くの方のご意
見が一致していました。
ここでは、まずレディーファーストの意外な起源について、Kmrさんか
ら寄せられた情報をご紹介します。
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◆ レディーファーストというのも、実はあれは決して女性のためではな
く、元々は男性が自分自身の身を守るために編み出した(?)行動が、思
わぬ方向に社会へ浸透していった、とものの本で見たことがあります。
昔(17〜8世紀頃?)はヨーロッパにはトイレというものがなく、そ
れ用にシビンが寝室などにあって、主として2階にあった寝室から、シビ
ンの中身を外に捨てていた、という慣行が堂々とあったそうです。テムズ
に面した家々では、その中身がちゃんと川に投棄されていたようですが、
そうではない家では道に投下していたとか。
なので、男女が並んで歩いているときなど、馬車から女性の身を守る、
という名目で女性を家に面した側にエスコートして歩く、というのがその
「不法投下」に対する男性の防御策だった、などというまことしやかな説
があるようです。紳士の国というくらいですから、空からあんなものが
振ってきた日にゃ、それが元で決闘でも行われたことがあるかもしれませ
んね。
フランスなどではことはもっと重大で、暗殺がまかり通っていた頃には
夫婦(に限らないかもしれませんが)で寝室に入るときなど、寝室に隠れ
ている暗殺者の手から少しでも自分を守ろうとして、必ず女性を先に部屋
に入らせていたとも聞きます。
これらの現象面だけが、レディファーストという慣行に繋がっていった、
としたら女性が憤りを覚えるとしても少しも不思議ではありませんが・・。
(Kmrさん)
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次は、イギリスの騎士道の現状について、現地の生の声をお届けします。
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◆ 私も一応、イギリス(ロンドン)に住んでいるのですが、先日授業で
席を譲るかどうかについての話になったときに、先生が「この国は男女平
等だから」と言っていました。確かに席を譲らない男性が増えていますが、
女性を下に見ると言う優越感から席を譲っていた昔と違って、現在はあま
り性差を気にしていないのではないかと思いました。
レディーファーストですが、私は必ず男性が先に女性を通すとは感じら
れません。まあこれも男性が自分を優先させてしまうぐらいの余裕のなさ
から来るのかもしれませんが、一般に日本人がイメージしているイギリス
人の男性像とは全く違いますね。
イギリス人男性は人にも寄りますが、彼女は別として赤の他人の女性に
レディーファーストをすることはすくなくなってきていると思います。特
にイギリス人以外や白人以外の女性に対してはもっとです。
(ゴマラブさん)
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紳士的態度が適用されるのが、最近では知人の女性に限られるようになって
きたというのは、わたしも感じるところです。
日本人の「イギリス紳士」像についてゴマラブさんは、「日本では留学やイ
ギリスに対する固定観念があって、それが今でも続いていると痛感します。私
もその間違った色眼鏡を持ってきてしまった為、結構こちらにきてからすぐに
カルチャーショックに感じました。」とおっしゃっています。
これは、イギリスに長期滞在して日本に帰った後、イギリスに関する本を書
いた方たちが、かつては大学の先生ばかりだったことによるのではないでしょ
うか。こういう方々がイギリス滞在中つきあっていたのは、中産階級の上かそ
れ以上の階級の人たちばかりだったのでしょう。そうすると、その方たちの本
に描かれたイギリス人像がかなり偏ってくるのもわかるような気がします。し
かし、最近では様々な経歴の方たちがイギリスに関する本を書き始めたので、
日本人のイギリス人像もだんだんに変わっていくかもしれませんね。
さて、今からもう1ヶ月以上も前になってしまいましたが、ガイ・フォーク
ス・デーとハロウィーンの話題を取り上げました。実は、日本にもハロウィー
ンのような行事が存在したのですね。
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◆ 私はハロウィンの "Trick or treat" と言って、各家を回る習慣を聞
くと、日本の七夕を思い出します。地域によって違うかと思いますが、私
が生まれた道東の地域では、七夕祭りの夜(北海道は本州より1ヶ月遅れ
です)ご近所の家をちょうちんを持った子供たちが「ロウソク出せ、出せ
よ。出さなきゃ、引っ掻くぞ。おまけに噛み付くぞ」(ちょっと、物騒
(笑))と回り、ロウソクやお菓子を貰いました。
(由芽さん)
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当の子供たちのほうは、ちょっと恥ずかしい思いをしながら、ご近所の家を
訪れていたそうです。「日本の犯罪も低年齢化が進み、訪ねる方も訪ねられる
方も用心しなくてはいけない社会になってしまったのが、悲しくもあります。」
と由芽さんはおっしゃっていますが、これはイギリスも日本も同じですね。
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● ビーン村より愛をこめて(編集後記)
以前、このマガジンで「日本語って難しい?やさしい?」というメール
マガジンをご紹介したことがありますので、ご存知の方、すでに購読中の
方も多いと思いますが、その発行者のかつみーこさんから先日お便りをい
ただきました。ロンドンの目抜き通りを時速5キロ未満で歩くと1600
円の罰金を徴収されるというニュースを耳にされたそうなのですが、それ
は本当かどうかというご質問でした。
このような案が出ているのは本当のようです。12月5日の"Metro" 紙
(ロンドンを中心に無料で配布されている新聞)によると、ロンドンの
オックスフォード・ストリートの歩道は、遅い人用と速い人用に二分され
るようです。そして、速い人用の部分で、時速3マイル以下(4.8キロ)
で歩いていると、パトロール員から10ポンドの罰金を課されるというの
が、この案です。要するに、エスカレーターと同じで、片側を急ぐ人のた
めに空けておこうという発想のようです。30人がパトロールにあたると
のこと。取り締まりには、スピードカメラが使われる可能性もあるそうで
す。オックスフォード・ストリートは、ツーリストのとても多いところで、
こういった人々の歩く速度ときたら、通常の歩行速度平均時速4マイルに
対して、1マイル(1.6キロ)だそうです。このノロノロ歩行にいらい
らしているのが、この近辺で働くビジネスマンたち。行く手を遮る歩行者
に対して攻撃的な態度に出る人もいるとか。このような "pavement rage"
を防ぐための案が、最低速度の設定というわけです。本当は規則など設け
たくないが、これだけの人数になると自己規制に任せるわけにはいかない
から、というのが、この運動の提唱者たちの言葉ですが・・。
運転中のストレスから、他のドライバーに暴力を振るったり、殺人にま
で至る「ロード・レイジ」"road rage" 事件はすでによく知られています
が、最近は、これが歩道にまで及んでいるのですね。これもまた、現代イ
ギリス人の精神的ゆとりのなさを示す一例と言えないでしょうか。もっと
も、ここまで余裕がないのは、ロンドンだけかもしれませんが。
周りの人たちの意見を聞くと、ほとんどが反対であることから考えて、
この案が実現する可能性は低いように思います。規則で縛られるのを嫌う
イギリス人が、こんなつまらいないことに、規則を導入するとは思えませ
んし。
最後に、イギリスの危機感は徐々に薄れ始めていますと書いたのは、つ
い先週のことでしたが、イギリスは再び暴風雨に見舞われています。前回
の大雨で土壌がすっかり飽和状態になっているところに、今回の嵐が来て、
再び洪水の被害が出ました。この嵐のために、電車は運休し、道路は寸断
状態の地域も。長期予報によると、この天気は3月まで続くと言うことで
す。洪水の被害に遭われた地域の方たちには心の休まる間も無く、たいへ
んお気の毒なことです。
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"Anglo-bites" (イギリスつまみ食い)
● 発行者:みちえ
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