らうんどあばうと〜イギリス英語の交差点

★ みんなで使おう"bouncebackability"!

今イギリスで流行の先端を行っている言葉が、"bouncebackability"。現在イギリス中のメディアがわれがちに、この言葉を使おうとしています。ことの発端は、サッカーファンの間でカルト番組となっている、スカイスポーツテレビの「サッカーAm」(ラジオのAMではないですよ。土曜日の午前中に放映されるのでAMです)。毎シーズン(この番組のシーズンはイギリスのサッカーシーズン同様、8月半ばに始まって、FAカップ決勝戦の行われる5月初めの土曜日に終わります)、さまざまなキャンペーンを繰り広げていますが、今シーズンはこの"bouncebackability"をぜひともオックスフォード英英辞典"Oxford Dictionary of English"(通称OED)に今年の新語として掲載してもらおうというのがその目標。

これまでのキャンペーンには、「ワールドカップの優勝記録を表す金星をイングランドの公式ユニフォームにつけてもらおう」(フランスなど他国ではすでに実行されていた習慣でしたが、イングランドでは1966年の優勝にもかかわらず、ユニフォームに金星はありませんでした)、「マダム・タッソー蝋人形館にイングランド・サッカーチームのコーチ、スベン・ヨーラン・エリクソンの蝋人形を作って、飾ってもらおう」、"Save Chip"(妻のセーラにサッカー観戦を止められているチップという架空の人物(と同時にどこにでもいる気弱なサッカー好きの亭主を表す)を応援するために、サッカー場など多くの人の目にとまるところで、機会があるごとに"Save Chip"というバナーを掲げよう)、などがあります。イングランドのユニフォームの金星もマダムタッソー蝋人形館のスベン人形も、司会者、ティム・ラブジョイとヘレン・チェンバレンをはじめとする番組チームおよび視聴者パワーのおかげで、実現しました。

この新語の意味は「反発力」、「立ち直り能力」。「バウンスバッカビリティ」と発音します。新語と言っても、"bounce back"(元気を取り戻す、反発する)と"ability"(能力)をくっつけて一語にしただけで、特に目新しいものではありません。それを視聴者パワーで強引にオックスフォード英英辞典に載せさせてしまおうというところが、いかにもサッカーAmらしいところです。

この新語を編み出した(?)のは、今シーズン、プレミア・リーグに昇進したばかりのクリスタル・パレスの監督・イアン・ダウイー。当時、クリスタル・パレスはとにかく勝てず、最下位に沈んでいました。来シーズンはまた1部リーグ(今年から、コカ・コーラ・チャンピオンシップというわけのわからない偉そうな名前に変わりました)に逆戻りするだろうと早くも噂されていたころです。

用例としては、

The team must show boucebackability.
ここでチームは跳ね返り能力を発揮しないといけない。

He has bouncebackability.
彼には立ち直り能力がある。

などがあります。これまでの劣勢から挽回する、巻き返すという能力を意味します。当時のクリスタル・パレスの監督だったら、さぞかし使う機会の多い言葉だったでしょう(10月16日、ついにbouncebackabilityを発揮し、ウェスト・ブロミッチとの試合に勝って一気に最下位を脱出しました)。現在のところ、主にスポーツ関係で使われていますが、今後そのほかの分野でも使われることを期待したいものです。

サッカーAmでは、毎週この言葉を使用したメディア(ラジオ、テレビ、出版物など)の一部を紹介していますが、常にインターネットで引用例を検索チェックしているそうです。このサイトもそれにカウントされることを願って、この記事を書きました。ちなみにグーグルの検索でチェックしたみたところ、"bouncebackability"に関する純粋日本語サイトは現在当ページだけみたいです(1件ありましたが、ここはイギリスのサイトの翻訳ページのようでした)。サッカーamのみなさん、毎週見てますよ。がんばってくださいね。


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