Anglo-bites

 **イギリスつまみ食い**

第7回

The Magi

第7回の目次
● クリスマスの挨拶
● クリスマスの食べ物
Roast turkey, Christmas puddings, Mince pies, Chirsitmas cakes
● クリスマスの飲み物
Mulled wine, Port
● クリスマスのうんちく
● 一言イギリス英語講座
今回はお休みです、ごめんなさい。
● わたしのクリスマス

● クリスマスの挨拶

いよいよクリスマスまで残り少なくなりました。あちこちの家の窓は色とりどりのライトで飾られ、家の中はクリスマスカードやクリスマスの飾りでいっぱいになってきました。今年も「ホワイトクリスマスになるかどうか」という賭けも白熱してきましたが、天気予報によると、クリスマス当日は、最高気温12度くらいの穏やかな天気になりそうだということで、ホワイトクリスマスの望みは薄いようです。

クリスマスの挨拶も聞かれるようになりました。日本では、クリスマスの挨拶といえば、 "Merry Christmas" ですが、イギリスでは "Happy Christmas" のほうが一般的です。「よいクリスマスを(お迎え下さい)。」に当たり、クリスマス前に、さよならの挨拶と一緒に(またはその代わりに)交わされます。"If I don't see you before Christmas, have a happy Christmas." (もし、クリスマス前にもう一度会わなかったら、よいクリスマスを。)という言葉が12月初めくらいから聞かれ始めます。クリスマス当日(12月25日)になると、この "Happy Christmas" は人と会った時の挨拶となり、(クリスマス前には別れる時の挨拶でしたが)「クリスマスおめでとう。」を意味するようになります。ボクシング・デー(クリスマス特集第2弾を参照)以降も、クリスマス以降初めてその人に会う場合には、この挨拶が使われることもしばしばありますが、この新しい習慣に違和感を感じる人も少なくないようです。

さて、今回はいよいよクリスマス特集も最終回を迎え、しめくくりは、「クリスマスの食べ物と飲み物」です。

● クリスマスの食べ物

Roast turkey and all the trimmings

もっとも伝統的なクリスマスのメインディッシュです。とはいっても、七面鳥がイギリスにやってきたのはそれほど昔のことではありません。アメリカで感謝祭の習慣として食べられていた七面鳥が、1650年頃、イギリスでクリスマスのご馳走として食卓に上がるようになりました。これ以前は、白鳥、ガチョウ、キジ、孔雀などが食べられていました。金持ちの家では、柊や果物で飾られ、口にはリンゴが詰められた猪の頭が出されたそうです。(ちょっと想像したくないですね。)

これに七面鳥を焼いた時に出た肉汁をベースに作ったグレービー (gravy) とクランベリーソース (cranberry sauce) をかけていただきます。七面鳥と一緒に、ローストビーフやローストポークなどを料理する家庭も少なくありません。ローストビーフには、ホースラディッシュ(horseradish、西洋ワサビと訳されますが、緑ではなくて白です。ワサビほどでないにしろ、たくさん口に入れるとやっぱり辛い。)、ローストポークにはアップルソース、ローストラムにはミントソースと相場が決まっています。野菜は、ローストポテトの他に、芽キャベツ(Brussels sprouts、なんでブリュッセルなんでしょうね。)やカリフラワー、ブロッコリなどの冬野菜。形がなくなるほど、くたくたに煮るのが伝統的調理方法です。特に、芽キャベツには、イギリス人は特別な思い入れがあるらしく、これが店頭に現れると、立ち止まって感慨にふけっている人が必ず見かけられます。きっとクリスマスが近いことを感じさせるのでしょうね。日本で見ない野菜では、parsnip(アメリカボウフウと辞書に書いてあります。見てくれは、白いニンジンのようです。)というのもイギリスの伝統的な冬野菜です。これはサツマイモのように甘くてなかなか美味だとわたしは思います。

野菜の他には、詰め物 (stuffing) として、セイジと玉ねぎや、栗などとソーセージ・ミート(ソーセージ用の挽肉)を混ぜたものを七面鳥の首の部分に詰めて焼いたり、またボール状にして別に焼いたりしたものを添えます。ウィンナ・ソーセージ (一般的には cocktail sausages と言いますが、クリスマスには特に chipolata と呼ばれるものが使われます。)にベーコンを巻いたものも七面鳥と一緒に出されます。

Christmas puddings pudding

イギリスのトップ・クリスマス・プディングメーカーのマシュー・ウィリアムズの予想によると、今年は、4千万個のクリスマスプディングが食べられるそうです。このうちの2千5百万個は家庭で消費され、自家製のプディングを食べる家庭は18パーセントにのぼるということです。

クリスマスプディングは、干しぶどうとスパイスとアルコールの入ったどっしりとしたものや、アルコール抜きのものもあります。

クリスマスプディングの前身は、"frumentry" と呼ばれるお粥のようなもので、その起源は14世紀にさかのぼります。これは、煮た牛肉と羊肉に干しぶどうと prunes (干したプラム)、ワインとスパイスを加えて作られました。これはどちらかというとスープのようなものだったそうです。1595年までに、frumentry は、plum porridge とか plum pudding と呼ばれるものに進化します。パン粉と卵が加えられ、かなりどろっとしたものになります。その後、質素を尊んだ清教徒が勢力を持つと、クリスマスプディングは贅沢品とされ、一時イギリスの歴史から姿を消しますが、1714年ジョージ一世の時代に復活しました。

今日のクリスマスプディングは、この plum pudding がさらに固形化したもので、1670年頃に今のような形になったようです。現在でも、プラムは入っていないにもかかわらず、クリスマスプディングはしばしばプラムプディングとも呼ばれます。ふきんに包んで蒸すと伝統的なまん丸のプディング型が出来上がるわけですが、最近スーパーで出回っているものは、容器ごと電子レンジで加熱ができる (microwavable) ものがほとんどで、そのため平らなふたのついたボウル (bowl) 型が圧倒的に多くなっています。(やっぱり、まん丸だとお皿に乗せて切り分けるのが難しいからでしょうか?)クリスマスプディングは伝統的には、ブランデーをかけ、火をつけて食卓に出されます。(わたしは実際に試したことはありませんが、おたまにブランデーを入れて温め、そこに火をつけて、プディングにかけるそうです。)ブランデーバターあるいはブランデーソースもプディングに添えらます。もっと手軽なところでは、これらの代わりに、濃いめの生クリームをかけていただいたりします。

このクリスマスプディングには、いろいろな言い伝えがあります。クリスマスプディングは、Trinity (Trinity Sunday, 聖霊降臨祭 (Whit Sunday) の後の日曜日)の後25週目の日曜日に作ること。キリストとその弟子を表す13の材料を使うこと。家族全員が順番でかき混ぜること。(このために、この日は、 "Stir-up Sunday" とも呼ばれます。)この時、キリストの生誕を祝うためにベツレヘムに贈り物を持っていった東方の三賢人(博士)に敬意を表し、東から西へとかき混ぜること。また、プディングの材料を時計回りにかき混ぜないと、その時にした願い事はかなわないという言い伝えもあります。(北半球では太陽は時計回りに動いているように見えたため、イギリス土着のドルイト教でも、時計と逆回りは太陽に逆らうことで、邪悪で縁起の悪いことであると信じられていました。)こうして作られたプディングはクリスマスまで時間をかけてねかせられます。時間がたてばたつほど、味がよくなるということで、1年くらいはもつようです。(市販のプディングには、賞味期限2001年というものもありますが。)

このクリスマスプディングを作る過程で、銀貨を入れるというのも古い習慣です。(スーパーのクリスマスプディングではこうはいきませんね。)食べる時に、これを見つけた人は、幸せで健康で金持ちになれるということです。その他にプディングに入れられるのは、指輪です。これを見つけた人は1年以内に結婚するといわれます。指貫やボタンをみつけた人は、独身で通す、ということです。現代では、銀貨の代わりに、Christmas pudding charms と呼ばれる、銀(あるいは銀めっき)のいろいろな形をした小さなものが入れられるようです。

Mince pies

Mince pies

Mincemeat (と言っても肉は入っていません。細かく刻んだリンゴ・干しぶどう・スパイス・脂肪・砂糖などを混ぜたもの。)を詰めたパイ。パイ皮は伝統的には、ショートクラスト (shortcrust) と呼ばれるさくさくした歯ごたえのあるバターたっぷりの生地が伝統的ですが、最近はパフ・ペイストリー (puff pastry) と呼ばれる何層にも折られたパイ皮も人気が出てきました。

ミンスパイは16世紀くらいにはすでにクリスマスの食卓に上っていたといわれます。昔は、残り物の肉や干した果物やスパイスと砂糖などで作られました。伝統的にはクリスマスの4週間前に作り、冷暗所に保存しておきます。

クリスマスイブには、子供たちは、ミンスパイとスパイス入りの暖かいワイン (mulled wine) やブランデー、シェリーなど体の暖まる飲み物をサンタクロースのために、ニンジンをトナカイのために用意しておきます。

また、Twelve Days of Christmas (クリスマス特集の第一弾をご参照下さい。)に一日一個ずつミンスパイを食べるとこれからの12ヶ月間を無病息災にすごせるという言い伝えもあります。(実行すると太りそう。)

Christmas cakes

クリスマスプディングにミンスパイとくれば、もう甘いものは結構、と思うでしょう?ところがまだあります。これにさらに、ケーキを買う家がほとんどです。(一度にこれら全部を食べはしないでしょうけれど。)伝統的に、イギリス人は干しぶどうや木の実類の入ったかなり重いフルーツケーキを好みます。ですから、Christmas cake の代表的なものも、Cherry Genoa cake、Dundee cake、iced cake (糖衣のかかったフルーツケーキ) などこの種のものが多くなります。それから、Yule log (「クリスマスのうんちく」を参照)と呼ばれる丸太の形をしたスイスロールのようなケーキもよくみかけます。また、ユーロ時代を反映してか、ドイツ生まれの stollen (干しぶどうや干したチェリー、マジパン、などの入ったお菓子。)やイタリアから来た panettone (やはりフルーツの入ったケーキ。イギリスのフルーツケーキよりずっと軽いようです。)などヨーロッパ大陸伝統のお菓子も、クリスマスケーキとして定着しつつあります。

● クリスマスの飲み物

最近では、広くいろいろな飲み物が飲まれるようになってきています。この時期になると普通のビールよりフルーティーでアルコール度も高い Christmas beers が店頭に並びます。この他にも、シェリーやシャンペンでパーティーのゲストを迎えたり、ワインを食事と一緒にいただいたりします。(伝統的なローストターキーにはわりと軽めの赤ワインがあう、と雑誌に書いてありました。)しかし、特にクリスマスに好んで飲まれるのは、やはり、伝統のマルドワイン (mulled wine) とポートワイン (port) でしょう。

Mulled wine

香辛料の入った温かい赤ワイン。イギリスだけでなく、北部ヨーロッパ全体にこのような飲み物はあるようです。

Port

甘くてアルコール度の高い赤ワイン。イースト菌がブドウの中に含まれている糖分を全部食べてしまう前にブランデーを加えることにより発酵を途中でストップさせます。このため、普通のワインより甘くて、アルコール分も高くなるわけです。もともと、イギリスに輸出するために、ポルトガルで作られましたが、現在ではポルトガル以外の国でも作られています。

● クリスマスのうんちく

これで、クリスマス特集は終わりです。でも、もっともっとクリスマスのことを知りたい、という方は下の下線が引かれた部分をクリックして下さい。そこにはさらに深いクリスマスの世界が・・・。

【クリスマスのうんちく】

● 一言イギリス英語講座

クリスマス特集が長くなりましたので、今回はお休みです。ごめんなさい。

● わたしのクリスマス

3回にわたっておおくりしたクリスマス特集いかがでしたか?お約束通り、とにかくクリスマス前に3回分掲載できてほっとしています。「言ったことは必ず実行する」がモットーのわたしですから、(だからなるべくでかいことは言わないようにしています。)かなりプレッシャーを感じましたが、やっぱり公言しないと達成できないこともありますね。

わたしのクリスマスは、家でのんびりと・・、ではありません、忙しく主婦をやっています。25日は、伝統のクリスマスディナー(ちゃんと七面鳥を焼きますよ。)を作り、26日は4人を招いて、クリスマスパーティーです。イギリスのクリスマスも、日本の正月のように、主婦が料理をしなくていいような習慣にすればいいのに・・、と思いますが、日本の主婦はその分暮れが忙しくてたいへんですよね。それでは、みなさま、Happy Christmas!!(来年もこのコーナー続きますよ。もう次回予告はしませんが。)

[バックナンバー一覧を見る] [トップページに戻る]