ハリー・ポッターを10倍楽しむ法

M word
'WHAT HAVE I TOLD YOU,' thundered his uncle, spraying pit over the table, 'ABOUT SAYING THE M WORD IN OUR HOUSE?'.
("Harry Potter and the Chamber of Secrets"
Chapter One "The Worst Birthday")

"M word"とは、魔法(magic)のことを指すと思われます。通常、人前で口にすべきではない、下品な言葉は、fで始まることから、"F-word"と呼ばれますが、ヴァーノンおじさんにとっては、魔法という言葉は、"F-word" 同様、口にもしたくない、良識のある人なら避けるべき言葉なのでしょう。

News at Ten
With any luck, I'll have the deal signed and sealed before the News at Ten.
("Harry Potter and the Chamber of Secrets"
Chapter One "The Worst Birthday")

イタリック体で「10時のニュース」と表されれば、ただの、10時に放映されるニュースではありません。もちろん、ITV(3チャンネル)の夜10時のニュースを指します。イギリス人にとって、"News at Ten" とは、一日の仕事を終えて、ゆっくりアームチェアに腰をおろし、くつろぐ時間を意味します。ビッグ・ベンの鐘の音に続いて読まれるニュースのヘッドラインを聞くと、イギリス人は「ああ、今日も1日が終わったな。」としみじみ実感するのです。

このように、すっかりイギリス人の慣習の一部となるほど愛されてた番組ですが、1999年3月に姿を消しました。国民の反対は並々ならぬものであったのは、言うまでもありません(このへんが、イギリス人の古い慣習や伝統にこだわるところ)。この決定の理由は、9時に始まる映画(2時間ものが多い)を途中ニュースで中断せずに、一気に放映するため。つまり、9時につかまえた視聴者を11時まで引き離さずにとらえておこうというテレビ局の視聴率確保の苦肉の策によります。この結果、10時のニュースは、11時のニュースになってニュースキャスターは変わり、この番組の顔とも言えた、ニュースキャスターのトレバー・マクドナルドは、夕方のニュース解説番組の司会をすることになりました。しかしながら、10時にニュースを見るというイギリス人の習慣は変えがたく、番組編成約2年後の2001年1月に10時のニュースは復活しました。

Gnome
'Muggles have garden gnomes, too, you know,' Harry told Ron as they crossed the lawn.
("Harry Potter and the Chamber of Secrets"
Chapter Three "The Borrow")

ノームは、もともとは伝説上の小人を指し、地下で地の宝を守ると信じられていました。しかし、現代では、とんがり帽子をかぶり、ひげを生やした庭の飾りとしてのほうが馴染みが深くなっています。(ロンの言う、釣りざおを握ったサンタクロースというのは見たことがないですが。)

Treacle pudding
On their last evening, Mrs Weasley conjured up a sumptuous dinner wich included all of Harry's favourite things, ending with a mouthwatering treacle pudding.
("Harry Potter and the Chamber of Secrets"
Chapter Five "The Whomping Willow")

夏休み最後の晩、ロン・ウィーズリーの家での夕食のシーン。トリークル・プディングは、バター・砂糖・卵・小麦粉の生地にふくらし粉を混ぜ、蒸したもので、トリークル(糖蜜。現在では、代わりにゴールデンシロップが使われることが多い。)が上にかかっています。

Post Office tower
"Two Muggles in London, convinced they saw an old car flying over the Post Office tower ...
("Harry Potter and the Chamber of Secrets"
Chapter Five "The Whomping Willow")

スネイプ教授が、魔法使いの世界の新聞 "Evening Profet" をハリーとロンに向かって読み上げるシーン。ポスト・オフィス・タワーは、郵便局の電信電話事業民営化に伴い、現在はテレコム・タワーという名前で呼ばれていますが、ロンドンのランドマークとしてのその地位は変わりません。かつては一般に開放されていましたが、テロ攻撃の的となる恐れから閉鎖され、現在では上ることはできません。そういった意味では、2000年を記念して作られた大観覧車、ロンドン・アイに、ロンドンのランドマーク第一位としての地位を奪われたということもできるかもしれません。

Custard tart
Come, Severus, there's a delicious-looking custard tart I want to sample.
("Harry Potter and the Chamber of Secrets"
Chapter Five "The Whomping Willow")

スネイプ教授に向かってのダンブルドア校長の言葉。この日は新学期の晩餐が行われる日。カスタード・タルトは、サクサクのショートクラスト・ペイストリー生地に卵と牛乳でできたカスタードを流し込んで、オーブンで焼いたものです。

Kipper
The four long house tables were laden with tureens of porridge, plates of kippers, mountains of toast and dishes of eggs and bacon, beneath the enchanted ceiling (today, a dull, cloudy grey)
("Harry Potter and the Chamber of Secrets"
Chapter Six "Guilderoy Lockhart")

ホグワーツでの朝食のシーン。ポリッジ(Porridge の欄参照)、トースト、卵とベーコン、どれも、典型的なイギリスの朝食ですが、にしんの燻製、キッパーもその一つ。昔は、干して燻製にしたままのにしんが食卓に上ったので、骨を取り除くのがたいへんで、それゆえにキッパーを嫌いな人が少なくなかったものです。ところが最近では、骨を取り除いた「フィレ」が登場し、袋のまま煮たり、電子レンジで加熱できるものが出てきました。家が魚臭くなるのが嫌いなイギリス人も、臭いの心配をあまりしなくて済みます。

Mandrake
'Madrake or Mandragora, is a powerful restorative,' said hermione, sounding as usual as though she had swallowed the textbook.
("Harry Potter and the Chamber of Secrets"
Chapter Six "Guilderoy Lockhart")

薬草学の講義中、マンドレークの特性についてのスプラウト教授の質問にハーマイオニーが答えて。

"Folklore , Myths and Legends of Britain" によると、「数多くの伝説のもとにもなっているマンダレークは、不妊症を治し、情熱をかきたてると信じられていた。また、麻酔・催淫剤として用いられ、マンドレークは単なる植物以上のものと考えられていた。枝分かれした長い根は悪魔を体現していると言われ、地面から根を引き抜こうとすると、悪魔が世にも恐ろしい悲鳴をあげ、それを聞いたものは皆死ぬという伝説がある。このため、この植物を引き抜く時には犬が使われた。おなかをすかせた犬はマンドレークにつながれ、近くには肉が置かれる。理論的には、この犬は肉に向かってまっしぐらに駆けるが、地面から引き抜かれる際のマンドレークの金切り声で死ぬというわけである。マンドレークはイギリスではめったに見られない。」とのことです。

実際に根は有毒であるということですから、根を引き抜くのは危険だということでこのような伝説が生まれたのかもしれません。この後、ハーマイオニーはマンドレークの危険性について「マンドレークの悲鳴は、耳にした者にとっては命取りになる。」と答えていますが、これは以上のようなイギリスの伝説に基づいているわけです。

先日たまたま、アリカンテ(スペイン)の世界名産展なる催しで、マンドレークの根から作られたというマンドレーク酒に巡り合いました。スペインでは、マンドラゴラと呼ばれています。スペインのナバラ地方で作られたものでしたが、「幻覚作用があるよ。」と言う誘い文句に引かれて一瓶買ったものの、グラス一杯くらいでは幻影は見られないものです。マンドレークと魔法界との関わりはスペインでも深く、年に一度の悪魔との真夜中の集会に参加するため、魔女が空を飛ぶのにマンドラゴラを用いると信じられているようです。


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