ハリー・ポッターを10倍楽しむ法

Eton
'My name was down for Eton, you know, Ican't tell you how glad I am I came here instead.
("Harry Potter and the Chamber of Secrets"
Chapter Six "Guilderoy Lockhart")

ジャスティン・フィンチ-フレッチリーの言葉。イートン校は、ウィリアム王子も学んだ名門パブリックスクール。有名私立校は、子供が生まれる前から親が入学申し込みをするほど、人気が高いことで知られています。苗字が二重姓であることからも、ジャスティン・フィンチ-フレッチリーは、(マグルの世界では)かなりよい家庭の出身であることが想像できます。

Spellotape
He had patched up his wand with some borrowed Spellotape, but it seemed to be damaged beyond repair.
("Harry Potter and the Chamber of Secrets"
Chapter Six "Guilderoy Lockhart")

ロンの折れた魔法の杖について。スペロテープは、セロテープ(Sellotape)に「呪文、魔法」を意味する"spell"(スペル)をかけたもの。セロテープは、1937年にイギリスのセロテープ社から発売されましたが、日本同様、イギリスでも、透明の粘着テープはすべて、商品名の「セロテープ」という名前で呼ばれています(アメリカに行くと、やはり登録商標名ですが、「スコッチテープ」と言う名前になるらしいです)。

スペロテープには、魔法の修理能力があるのでしょうか?(本を読む限りでは、セロテープ以上の働きはしていないようですが。)

Conker
Crabbel stopped laughing and started rubbing his conker-like knuckles in a menacing way.
("Harry Potter and the Chamber of Secrets"
Chapter Six "Guilderoy Lockhart")

コンカーは、ホースチェストナッツ(トチノキ)の実。この木は、日本ではマロニエという優雅なフランス語のほうの名前でよく知られています。

コンカーは、イギリスの子供や、その昔子供であったイギリス人の大人には、たいへん親しみ深いもの。コンカーに糸を通し、これを二人でぶつけ合い、相手のコンカーを割った者の勝ちというのは伝統的なイギリスの子供の遊びです。世界コンカー選手権なるものまであるくらい。もっとも、他の国からの参加者があるのかどうかは疑問ですが。イタリアのフィレンツェに行った時、歩道一杯に落ちているコンカーを発見して、イギリス人のわが夫の顔の輝いたこと!「イギリスではこんなことはありえない!」(子供たちは争ってコンカーを取るので、木に残っていることはもちろん、道に落ちていることなんてありえないのです。)

Shepherd's pie
Harry didn't fancy his shepherd's pieas much as he'd thought.
("Harry Potter and the Chamber of Secrets"
Chapter Seven "Mudbloods and Murmurs")

シェパーズ・パイは、ラム(子羊)の挽肉とたまねぎ、ニンジンを炒めて味をつけたものの上に、マッシュ・ポテトを乗せ、オーブンで焼き色をつけたもの。これも伝統的なイギリス家庭料理の一つです。もともとは、残り物の肉とジャガイモを処分するための料理として発案されました。(家庭料理には、この種の残飯整理的なものが多いようです。)羊飼いとの関係はあまりなさそうですが、羊の肉を使うところからこの名前がついたのではないかと言われています。同じレシピで、子羊の肉の代わりに、牛挽肉を使ったものは、コテージ・パイと呼ばれます。

Kwikspell
KWIKSPELL
A Correspondence Course in
Beginner's Magic

("Harry Potter and the Chamber of Secrets"
Chapter Eight "The Deathday Party")

クィックスペルは、魔法のできない、あるいは魔法を忘れた魔法使いたちのための短期通信教育講座。お馴染みの宣伝文句の後、経験者の感謝の言葉が続くところなんて、まさしくマグル界の宣伝広告そのもの。ハリー・ポッター・シリーズの最大のおもしろさは、こういった、われわれマグル界のパロディーにあるとわたしは思うのです。

Haggis
there was a great maggoty haggis, a slab of cheese covered in furry green mould and, ...
("Harry Potter and the Chamber of Secrets"
Chapter Eight "The Deathday Party")

グリフィンダー寮の幽霊、ニアリー・ヘッドレス・ニック(もうちょっとで首なしニック)こと、サー・ニコラス・ド・ミムジー-ポーピントンの「命日パーティー」での「ご馳走」。ハギスは、スコットランドの伝統的料理で、羊または子牛の臓物をオートミール及び調味料と混ぜて、袋(伝統的には、羊などの動物の胃袋)に詰め煮たもの。スコットランドまで行かなくても、最近では、ロンドンのスーパーの食肉コーナーで売られています。

Selective
Slytherin wished to be more selective about the students admitted to Hogwarts.
("Harry Potter and the Chamber of Secrets"
Chapter Nine "The Writing on the Wall")

マグルの教育界で、"selective"といえば選抜制度を意味し、長年、労働党と保守党との大きな教育政策の違いをなしてきました。テストによって優秀な生徒を選り分け、グラマー・スクールに入れてエリート教育を施すというのが保守党政権下での教育制度でした。一方、全生徒同等の教育を主張してきたのが労働党でした。これがイギリスのマグル界ですが、魔法界で選抜教育と言うと、代々魔法使いばかりの血統を重んじることを意味するのですね

Dobby the house-elf
'Why d'you wear that thing, Dobby?' he asked curiously.
'This, sir?' said Dobby, plucking at the pillowdase.''Tis a mark of the house-elf's enslavement, sir. Dobby can only be freed if masters present him with clothes, sir.
("Harry Potter and the Chamber of Secrets"
Chapter Ten "The Rogue Bludger")

ドビーは、マルフォイ家に仕える妖精。この巻の最後には、ハリーの巧妙な策略によって奴隷の身から解放されます。第4巻では、さらに発展して、ドビーに続くべく、家付き妖精たちを解放しようというハーマイオニーの運動が、全巻を流れるストーリーの横糸の一つとなっています。

エルフは別名ブラウニーとも呼ばれますが、ブラウニーは特によい妖精を指すようです。これに対して、ゴブリンは邪悪な妖精、小鬼を指すことが多いようです。"Folklore , Myths and Legends of Britain" によると、ブラウニーは通常小柄で、一人でいることが多く、毛むくじゃらの家の精で、家事や家まわりのちょっとした仕事をしてくれると言われます。特定の家族や場所(城やマナー・ハウスなどの古い家が多い)に付くことが多く、外見は醜いことが多いということです。通常ブラウニーは裸か、せいぜいぼろきれを身にまとっている程度で、目に見えなくなることができ、それゆえ隠れるのがとても上手です。家付き妖精を追い払う最も簡単な方法は、服をプレゼントすることであると言われています。上記のドビーの発言は、この伝説に基づいているのでしょう。

Carol
Dumbledore led them in a few of his favourite carols,
("Harry Potter and the Chamber of Secrets"
Chapter Twelve "The Polyjuice Potion")

キャロルは、宗教的な民謡やよく歌われる賛美歌を指します。クリスマス・キャロル(クリスマスにちなんだ賛美歌)は、クリスマスとは切り離せないイギリスの習慣です。詳しくは、"Anglo-bites" (イギリスつまみ食い)のクリスマス特集をご覧下さい。

Eggnog
Hagrid booming more and more loudly with every goblet of eggnog he consumed.
("Harry Potter and the Chamber of Secrets"
Chapter Twelve "The Polyjuice Potion")

エッグノッグは、冷たいあるいは温かいアルコール(ビール、リンゴ酒、ワイン、蒸留酒など)に、溶き卵と牛乳を混ぜた飲み物。アメリカでは、クリスマスには欠かせない飲み物のようですが、イギリス南東部ではあまり耳にしません。(北部ではこういう習慣があるのかもしれませんが、現在のところ未確認です。)イングランド南東部では、クリスマスと言えば、むしろ、マルド・ワイン(温めた赤ワインにシナモンなどのスパイスを加えたもの)やポートワインのほうが馴染みが深いようです。

Valentine's Day
'Happy Valentine's Day!' Lockhart shouted
("Harry Potter and the Chamber of Secrets"
Chapter Thirteen "The Very Secrete Diary")

2月14日の聖バレンタイン・デーを祝うギルドロイ・ロックハートの言葉。チョコレート屋のしくんだ国家的陰謀がすっかり定着したどこかの国とは違って、イギリスで最も人気のあるバレンタインのプレゼントは、カードです。本文中にもあるように、カード自体を「バレンタイン」と呼ぶこともあります。(また、その受け取り手である、意中の人のことも「(わたしの)バレンタイン」と呼びます。)バレンタインのカードや新聞に掲載するバレンタインのメッセージなどは、匿名もしくはニックネームを使うのが普通です。また、プレゼントやカードは男女両方から送り合います。

イギリスのバレンタイン・デーについて、詳しくは "Anglo-bites"(イギリスつまみ食い)の「2月の行事」をご覧下さい。


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