ハリー・ポッターを10倍楽しむ法

Muggle-hunting
'... and Araminta Meliflua ... cousin of my mother's ... tried to force through a Ministry Bill to make Muggle-hunting legal ...'
("Harry Potter and the Order of the Phoenix"
Chapter Six "The Noble and Most Ancient House of Black")

マグルの世界で、このところ毎年のように議会に提出されながら、なかなか法律として成立しないのがキツネ狩り"fox hunting"の全面禁止案です。動物愛護の立場からキツネ狩りに対する反対する声は大きいのですが、田舎で生活する人々の中にはキツネ狩りに関連した産業で生計を立てている人が少なくないこと、キツネ狩りはイギリス文化・伝統の一部となっていることなどの理由で、キツネ狩り保護の声も無視できません。毎年、双方の陣営がデモなどの大規模な活動を繰り広げています。今年も、キツネ狩り反対派が国会議事堂へ侵入し、その中にデキシー・ミュージックのブライアン・フェリーの息子も含まれていたことが話題になりました。

魔法界にも、魔女狩りならぬマグル狩りを提唱する人たちがいるのですね。永遠に合法化されないことを祈ります。

Auror Headquarters
The aurors had covered their cubicle walls with everything from pictures of wanted wizards and phtographs of their families, to posters of their favourite Quidditch teams and articles from the Daily Prophet.'
("Harry Potter and the Order of the Phoenix"
Chapter Seven "The Ministry of Magic")

パーティションで仕切られたスペースには、指名手配書に、自分の家族の写真、お気に入りのクィディッチチームのポスターや新聞の切り抜きやらが壁いっぱいに貼られています。指名手配書を取って、クィディッチチームをサッカーチームに置き換えると、これはイギリスのどこのオフィスにも見られる風景です。オフィスという公的な場所で居心地のいい自分だけの空間を創造する工夫なのですね。

How to wire a plug
The little wall space available bore witness to Mr Weasley's obsessions; several posters of cars, including one of a dismantled engine; two illustrations of postboxes he seemed to have cut out of Muggle children's books; and a diagram showing how to wire a plug.
("Harry Potter and the Order of the Phoenix"
Chapter Seven "The Ministry of Magic")

マグル界に非常に興味のあるウィーズリー氏ですが、プラグの配線はかつてのイギリスのマグルには重要な問題でした。当時は電化製品を買うと、ほとんどの製品にはプラグがついていません。たぶん、ヨーロッパ広域で展開するメーカーがそれぞれの国に応じたプラグを着けるのを怠ったのではないでしょうか。そこで、新しい製品を買うと、古いほうからプラグを切り取り、自分でプラグの中の配線をしないといけませんでした。銅線は色分けされたビニールで覆われているので、図を見ながら、正しい色の線をつなぐわけですが、間違った配線による事故も少なくなかったようです。こうした事故を防ぐために、現在ではすべての電化製品は最初からプラグ付きで売られています。

プラグの配線図
画像出所:BBC教育サイト
"http://www.bbc.co.uk/schools/gcsebitesize/physics/electricity/mainselectricityrev2.shtml"

Merlin's beard
'Down in old - but they told me - Merlin's beard!'
("Harry Potter and the Order of the Phoenix"
Chapter Seven "The Ministry of Magic")

"Merlin's beard"は魔法界の驚きの表現のようです。マグル界の驚きの表現にも、"Oh, my God!"、"Good Heavens!"、"Good God!"、"Goodness gracious (me)!"("goodness"は"God"の婉曲的表現と言われます)など神様にちなんだものが多いですが、魔法界の神様に相当するのがイギリスでは、アーサー王伝説に現れるマーリンなのですね。

Harry James Potter
'Disciplinary hearing of the twelfth of August,' said Fudge in a ringing voice, and Percy began taking notes at once, 'into offences commintted under the Decree for the Reasonable Restriction of Underage Sorcery and the International Statute of Secrecy by Harry James Potter, resident at number four, Privet Drive, Little Whinging, Surrey.
("Harry Potter and the Order of the Phoenix"
Chapter Eight "The Hearing")

ハリーは、ミドルネームにお父さんの名前をもらったのですね。これはイギリスではとてもよくあることです。この直後、ダンブルドア校長のフルネームが、アルバス・パーシバル・ウルフリック・ブライアン・ダンブルドアであることがわかります。マグルの世界では、名門の家に生まれた人ほど、ミドルネームが多いようですが、ダンブルドアも魔法界の名家に生まれたのでしょうか。たとえば、2003年11月に誕生したウェセックス伯爵(エリザベス女王の息子・エドワード王子)夫妻の娘は、ルイーズ・アリス・エリザベス・メアリー・マウントバッテン=ウインザーと命名されました。エリザベスはどこから来たのか明白ですが、アリスはウェセックス伯爵夫人・ソフィー妃のお母様の名前だそうです。名門の家に生まれると、父方・母方両方の先祖の名前を取ったり、あやかりたい偉大な人物が家系に多いというので、自然にミドルネームも長くなるのでしょう。

ダンブルドアの名前ですが、魔法使いらしい名前が並んだ後(パーシバルはマグルの人名にもありますが、最近はあまり使われません)、ブライアンという超マグルっぽい名前が続くのは興味深いと思います。モンティ・パイソンの「ライフ・オブ・ブライアン」(キリストの一生のパロディー)で、あえてブライアンという名前を選んだのは、もちろんキリスト教社会からの非難を真っ向から受けるの避ける意味もあるのでしょうが、ブライアンという名前にはごく平凡な普通の人間という意味合いが含まれているような気がします。その名前が、反純血主義、マグルもしもべ妖精も巨人もケンタウロスも歓迎という寛容なダンブルドア校長のミドルネームの1つになっていることを考えると、マグルとのつながりを想像させられます。

Pork pie
She had tightly curled grey hair and wore a purple hat shaped like a pork pie.
("Harry Potter and the Order of the Phoenix"
Chapter Ten "Luna Lovegood")

しっとりと重めのパイ皮の中に角型に切った豚肉とベーコンを入れてオーブンで焼いたパイ。レスターシャー県のメルトン・モウブレイ(Melton Mowbray)という町がその発祥の地で、今もポークパイと言ったら、メルトン・モウブレイというくらい有名です。もともとは、馬に乗り、犬を使ってキツネ狩りをする人たちがお腹をすかせて狩りから帰ってきたときに出されました。今では、小さな1人分サイズのものがスーパーなどでスナックとして売られています。

OWL
'Fifth year's OWL year.' said George.
("Harry Potter and the Order of the Phoenix"
Chapter Twelve "Professor Umbridge")

OWLはOrdinary Wizard Levelの頭文字ということですが、これはかつてイギリスのマグル界にあったO-level (Ordinary level General Certificate of Education)を基本にしているようです。中等教育を終える15〜16歳の生徒が科目ごとに試験を受けて、合格するとO-levelがその数だけ授けられます。これが中等教育終了の資格になり、O-levelの数が多いほど、就職に有利でした。1988年にO-levelはGCSE(General Certificate of Secondary Education)に取って代わられ、現在に至っています。マグル界では、さらに高等教育終了時18歳でA-level(Advanced level)の資格試験があります。大学の受け入れ選考時に、どの科目でどのような成績を取ったかが大きな意味を持ちます。これが、魔法界ではNEWTにあたるのでしょう。中等教育終了の資格がOWL(フクロウ)で、高等教育終了の資格がNEWT(イモリ)というのも作者のユーモアのようです。

Hangman
..., and he spent the remaining hour and twenty minutes playing hangmanon a corner of his parchment with Ron, ...
("Harry Potter and the Order of the Phoenix"
Chapter Twelve "Professor Umbridge")

ハングマンは2人でする言葉の遊び。一方が1つの単語を心に浮かべ、もう一方がそれを当てます。まずその言葉の文字の数だけ線を引き、推測する側は1文字ずつ選んでいきます。もしその文字がその語に含まれていたら、単語を選んだ側がその文字を含む部分を埋めます。もし間違っていたら、その度に1本ずつ線あるいは丸を描き、、絞首台に下がっている人の絵を完成させていきます。こうして、絵が完成すれば推測する側の負け、その前に単語を当てれば勝ちです。イギリスではとてもよく知られた遊びです。

ハングマンの絵
画像出所:www.olemiss.edu/ mathed/pow/hangman.htm


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